質問を重ね、相手との距離を縮める「双方向性」の会話
前回の続きです。普通の説得方法は、相手を褒めることに加えて、キャバクラよりも風俗が勝(まさ)っている点の強調が一般的です。
「キミは可愛いから風俗のほうが儲かるよ、絶対に人気出るよ」
これらが常套句となっています。
私の場合は違いました。
「どうしてキャバクラで働きたいの?」
私が重視しているのは双方向性。質問を投げかけ、相手からの返答を得る。さらにそこから質問を重ねるやり方です。こちらから一方的に話の風呂敷を広げて押しつけるのではなく、お互いに少しずつ歩み寄る方法を実践していました。
「どうして働きたいの?」に対して「お金が欲しいから」という返答があれば、「どうしてお金が欲しいの?」「海外旅行がしたいんです」「どの国に行ってみたいの?」とありふれた会話で心をほぐして距離を縮めていきます。
そして機を見て「君にはもっと希望に合う仕事があるよ」と興味の対象を広げ、風俗業の話へと移行させていきます。
デメリットも伝え、理解を深めてもらい、承諾を得る
「お酒を飲んでお客さんの相手をするだけなので、楽そうだから」
楽という直接的な言葉を使うことはあまりありませんが、そのようなニュアンスで答える子もいます。しかしキャバクラのお仕事というのは、そんなにヤワなものではありません。
「お酒をたくさん飲むから健康によくないし、夜ずっと働き詰めだから美容にも悪い。お客さんとのコミュニケーションが大事だから、プライベートとの境目もなくなる。そういう意味ではとても大変だよ」
このように、キャバクラのデメリットを伝えます。相手がキャバクラに抱いていたイメージを崩したところで、風俗店のメリットに話題を移していきます。
「お酒を飲まなくていいし、プライベートで連絡先交換しなくてもいいし、出勤が自由な仕事があるんだけど、興味ないかな?」
もちろん風俗店で働くデメリットもあるので、そこも十分に伝えていきます。
「どうしてもキャバクラで働きたいんです」
そう答える子を、頑(かたく)なに引き止めて説得したりはしません。彼女たちの目的達成を阻止するようなことをしないのが私の流儀です。
要するに、「稼ぎたいから」「ほかに自分に合ってる仕事がないから」「本業の合間にも働きたいから」という目的の人に、風俗店を紹介し理解を深めてもらい、相手の承諾をいくつも得ることに成功してきました。
次回に続きます。