オーナーが数部屋ごとに分割して所有する形で運営される「区分所有型ホテル」。湯沢の「スポーリア湯沢」は業績悪化のため2020年に閉鎖された区分所有型ホテルです。自己破産手続が停止されるほど深刻な状況に追い込まれ現在もその状況は変わりません。なぜそこまでの問題に発展してしまったのでしょう。本記事では、吉川 祐介氏による著書『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(角川新書)より一部を抜粋・再編集して、湯沢のリゾートマンションの実態についてご紹介します。

解体の合意、費用捻出は至難の業

解体するにしても莫大な費用を要し、そもそも区分所有の建築物が解体される事例すら極めてまれなのに、解体を視野に入れた修繕積立金の徴収も行っていないので、解体の合意を形成したうえ、さらにその費用を捻出するのは至難の業であろう。

 

僕の湯沢町におけるマンションや区分所有型ホテルの取材は、当初はYouTubeの動画を制作するために行ったものだった。それまでは湯沢町に足を運ぶ機会もなく、バブルのころに建てられたマンションが今も残されている、という程度の知識しかなかったが、初めて訪れた湯沢町で目にしたこのスポーリア湯沢のインパクトがあまりに強すぎて、相対的に苗場の10万円マンションの問題がかすんで見えてしまったほどである。

 

ところが、そのYouTubeの湯沢関連動画は全4本立てで公開したものの、このスポーリア湯沢と、町内で廃業したもう一つの区分所有型ホテル「苗場泉郷コンドミニアムホテル」を扱った区分所有型ホテルの動画は、全4回のうち最も再生回数が伸びなかった回となった。

 

底値で売られるリゾートマンションと比較し、類似の事例が少ないことと、そもそも区分所有型ホテルというビジネスモデルのわかりにくさ、周知の低さが主な要因と思われるが、個人的には現在の湯沢町に存在する区分所有建物の中でも、特に深刻な事例と考えている。

 

 

吉川 祐介

 

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※本連載は、吉川 祐介氏による著書『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(角川新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮

バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮

吉川 祐介

KADOKAWA

バブル期に大量に建設されたリゾートマンション、会員制リゾート―― ・アクセス難で苗場のマンションが10万円 ・40平米の1Rマンションを見ず知らずの20人で所有 ・リゾートホテルの建物が1250分割、ワンフロアが200分割…

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