オーナーが数部屋ごとに分割して所有する形で運営される「区分所有型ホテル」。湯沢の「スポーリア湯沢」は業績悪化のため2020年に閉鎖された区分所有型ホテルです。自己破産手続が停止されるほど深刻な状況に追い込まれ現在もその状況は変わりません。なぜそこまでの問題に発展してしまったのでしょう。本記事では、吉川 祐介氏による著書『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(角川新書)より一部を抜粋・再編集して、湯沢のリゾートマンションの実態についてご紹介します。
湯沢町の閉鎖された区分所有型ホテル
湯沢町には現在、僕が知る限り、運営会社が撤退し閉鎖されてしまった区分所有型ホテル跡が2棟存在する。
そのうちの一つ、上越新幹線の越後湯沢駅より徒歩5分ほどのところに位置する「スポーリア湯沢」は、1987年に、中堅デベロッパーの「ダイカンホーム」によって分譲が開始された。
同社は当時、都内で雑居ビルの建築を複数手掛けていたが、このころ湯沢町へ進出し、「スポーツメント湯沢」というリゾートマンションの分譲も行っており、同マンションは現在でも一般のリゾートマンションとして利用されている。
一方、スポーリア湯沢は、外観を見る限りは一般のホテルと大差なく(写真1)、実際に同ホテルは一般の宿泊客を受け入れていた普通のホテルだったが、ここは当初から、自己使用ではなく「新発想の資産運用術」の謳い文句で分譲ホテルとして販売されていたものだった(写真2)。
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1981年、静岡県生まれ。千葉県横芝光町在住。高校卒業後、新聞配達、バス運転手などをしながら暮らす。その後千葉に引っ越し、自身の家探しの過程で、70~90年代に投機目的で購入されたまま開発されていない「限界ニュータウン」の存在に気付く。
2017年に始めたブログ「URBANSPRAWL 限界ニュータウン探訪記」が話題となり、22年には初の著書『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』(太郎次郎社エディタス)を刊行。あわせてYouTubeチャンネル「資産価値ZERO 限界ニュータウン探訪記」も開設した。
すでに100か所以上の限界ニュータウンの調査を行い、郊外の別荘地やリゾート地などにも調査範囲を拡大、各紙誌やウェブサイトへ寄稿している。ほかの著書に『限界分譲地 繰り返される野放図な商法と開発秘話』(朝日新書)。
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連載所有者なのに使えない、建物に入れない、手放したくても売れない…「バブルリゾート」の現在地