オーナーが数部屋ごとに分割して所有する形で運営される「区分所有型ホテル」。湯沢の「スポーリア湯沢」は業績悪化のため2020年に閉鎖された区分所有型ホテルです。自己破産手続が停止されるほど深刻な状況に追い込まれ現在もその状況は変わりません。なぜそこまでの問題に発展してしまったのでしょう。本記事では、吉川 祐介氏による著書『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(角川新書)より一部を抜粋・再編集して、湯沢のリゾートマンションの実態についてご紹介します。

湯沢町の閉鎖された区分所有型ホテル

湯沢町には現在、僕が知る限り、運営会社が撤退し閉鎖されてしまった区分所有型ホテル跡が2棟存在する。

 

そのうちの一つ、上越新幹線の越後湯沢駅より徒歩5分ほどのところに位置する「スポーリア湯沢」は、1987年に、中堅デベロッパーの「ダイカンホーム」によって分譲が開始された。

 

同社は当時、都内で雑居ビルの建築を複数手掛けていたが、このころ湯沢町へ進出し、「スポーツメント湯沢」というリゾートマンションの分譲も行っており、同マンションは現在でも一般のリゾートマンションとして利用されている。

 

一方、スポーリア湯沢は、外観を見る限りは一般のホテルと大差なく(写真1)、実際に同ホテルは一般の宿泊客を受け入れていた普通のホテルだったが、ここは当初から、自己使用ではなく「新発想の資産運用術」の謳い文句で分譲ホテルとして販売されていたものだった(写真2)。

 

[写真1]駅からのアクセスも良く、クリーム色で立派な外観のスポーリア湯沢

 

(読売新聞1987年9月5日)
[写真2]「レジャーと資産運用の新天地」とのキャッチコピーで販売されたスポーリア湯沢の新聞広告 (読売新聞1987年9月5日)

 

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※本連載は、吉川 祐介氏による著書『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(角川新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮

バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮

吉川 祐介

KADOKAWA

バブル期に大量に建設されたリゾートマンション、会員制リゾート―― ・アクセス難で苗場のマンションが10万円 ・40平米の1Rマンションを見ず知らずの20人で所有 ・リゾートホテルの建物が1250分割、ワンフロアが200分割…

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