売り上げ低迷で自己破産も「破産手続き廃止」の措置
しかし90年代半ば以降、湯沢町の観光地としての地位が相対的に低下していく中、次第に業績が悪化していった。
2001年には13億円を計上していた同ホテルの売り上げは、新型コロナウイルスの感染拡大によってさらに追い打ちをかけられ、閉館間際の20年3月期の年間売上は4億7000万円にまで減少。ついに同年9月、事業を停止し、翌月より破産手続きが開始された。
区分所有型ホテルの問題はここからである。「スポーリア湯沢」の敷地および建物はあくまで分譲時に客室の区分を購入した各オーナーの所有物であって、実際にホテルを運営していた株式会社スポーリア湯沢は、各客室のオーナー(区分所有者)より賃借して経営を続けていたに過ぎない。
一般のホテルのように自社物件で経営をしているのであれば、破綻時にその物件を担保に多額の借り入れを行っていたにせよ、最終的にホテルの土地建物を競売に掛け、その代金を債務の返済分に充当することができる。
ところがスポーリア湯沢の場合、運営していた施設の所有者も、本来支払われるべき配当金(賃料)を受け取る「債権者」に含まれている。土地建物が差し押さえの対象とならないのであれば、経営破綻した運営会社にはもはや資産と呼べるものがほとんど残されていない。
実際、破産手続きを開始したスポーリア湯沢であったが、結局23年1月に、費用不足による破産手続廃止の決定(破産手続きを進めても債務の完済が見込めないために中止すること)が確定している。
スポーリア湯沢の建物は今でも残されており、後述するが最低限の維持管理は続けられている。
しかし、本稿の執筆時点でホテルの閉鎖から4年近くが経過しており、その間、ホテルとしての営業はもちろん、他の営利施設としても一度も転用されていない。ただ建物だけがそこに残されている状態で、入口の戸は閉じられたままである。そこに建物があるだけでは廃ホテルと変わらず、何の収益を生み出すこともない。
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