効果的な人事考課制度を運用する<5つのポイント>
1 評価目的の明確化
評価の目的を明確にすることは人事考課制度の基本です。目的が曖昧であれば、評価基準も不明瞭になり、評価される人に不公平感や不満が生まれます。病院では、患者に質の高い医療サービスを提供することが最重要課題です。
そのため、職員の能力を正確に評価し育成することが重要です。評価の目的がはっきりしていれば、職員のスキル向上や業務改善につながる人事考課が可能になり、結果的に病院全体のパフォーマンス向上にも寄与します。
2 評価の標準化
評価をより公平で一貫性のあるものにするために評価基準の統一はとても重要です。病院ではさまざまな職種の人々が協力して働いていますが、職種が異なると評価基準にも差が生じることがあります。
そこで、統一された評価基準を導入することで、職員同士の比較がしやすくなり、公平な評価を実現できるようになります。このような基準があれば、評価者の主観による影響も少なくなるため、職員のやる気も高まる効果が期待できます。
3 評価制度改善の習慣化
評価制度を継続して効果的に使い続けるためには定期的に改善を重ねることが大切です。医療の現場は日々変化しており、それに合わせて人事考課制度も常に進化させる必要があります。
定期的に見直しと改善を行うことで制度が現場の実情に合ったものになり、最新の医療技術や患者のニーズにも対応できる評価基準を設定することができます。この定期的な見直しと改善が、よりよい考課制度の維持につながります。
4 病院目標との連動
病院の目標を人事考課制度と結び付けることで、職員1人ひとりの行動が組織全体の目標達成に寄与するようになります。たとえば患者満足度の向上や医療の質の向上といった病院の目標を掲げた場合、それに向けて全職員が一致協力して取り組めるようになるというようなことです。
各職員が自分の役割を理解し、自分の貢献が病院全体にどのような影響を及ぼすかを意識することで、組織の一体感が高まります。職員1人ひとりの行動が病院の目標達成に結び付くことを実感でき、より高いモチベーションを持って業務に取り組めるようになります。
5 DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組み
現代の医療機関では、DXの導入が欠かせません。特に人事考課制度にDXを取り入れることで、評価データの精度が向上し、効率も高まります。たとえば評価プロセスが自動化されてデータ分析が高度化することで、より客観的で公正な評価ができるようになります。また、職員がスキルを磨いたり、再訓練を受けたりする際にもデータを活用でき、人材育成の面でも大きな効果が期待されます。
このように、DXは多くのメリットをもたらし、医療機関の発展に貢献します。さらにいえばDXは病院に限らず多くの事業所にとって、また人事考課以外の業務においても、もはや必須の取り組みとなっています。
これら5つのポイントそれぞれの重要性を理解して制度に反映させることが、病院経営の成功へとつながります。評価軸をもとにした人事考課制度は、病院全体の運営を改善し、質の高い医療を提供するために欠かせません。
盛 牧生
社会医療法人ピエタ会 石狩病院
理事長
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