銀行員でも失敗…老後の資産運用は「リスク許容度」を認識する
清さんの失敗は高利回りの商品に惹かれてしまったこと、そして仕組債(EB債)のリスクを甘くみていたことです。運用期間が長く取れる若い世代ならまだしも、清さんは60代です。リターンが大きいということはリスクが大きいということであり、老後資金を運用しながら切り崩すなら、できるだけ安定運用に努めなければなりません。
清さんは銀行に勤めていたものの融資業務が長く、仕組債の販売を扱ったことはありませんでした。銀行員のため株取引が禁止されており、株式投資(特に外国株取引)の経験がなかった点も仇になったといえます。
清さんは、長期分散投資ができる投資信託だけの運用経験しかないにもかかわらず、ハイリスク・ハイリターンの仕組債(しかもEB債(外国株転換社債))を行ったため、老後資金の約半分を失ってしまいました。まだ半分だからよかったものの、すべてを仕組債に充てていたら、最悪破産していたかもしれません。
同期からの誘いだから断れなかった気持ちもありますが、単に高い利回りで早く資産を増やそうと思った自分の愚かさを嘆くばかりでした。
69歳で2,200万円の資金で夫婦2人暮らすには、できるだけ支出を減らし、健康に気をつけながら生きていく必要があります。予定していた旅行などは運用実績で得た資金内で行うようにし、できるだけ年金収入の範囲内で生活するよう心がけていかなければなりません。
妻に話したところ、最初は絶句していましたが、「運用は自己責任。失ったものは仕方がない」と納得してくれました。今後は生活レベルを下げて年金収入主体で生活し、残りの資金は安定運用を継続しながら、必要に応じて切り崩していく予定です。
このような話はいまに始まったことではありません。2025年4月3日にトランプ大統領が発令した「相互関税」により、国内や国外の株式が多く下がっている状態は皆さんも感じていることでしょう。
運用を行う際には、このような市場の大幅な下落はいつ起こってもおかしくないと理解しておくこと、そしてそれに耐えられる範囲内での金融商品で行うことが大切です。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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