市場拡大の中、ステーションの利便性評価は低下
ここ数年、多くの事業者がステーション数や車両台数の拡大に取り組んでいるが、「サービスメニュー」の詳細評価を見ると、「ステーションの利便性」に関するスコアの低下が顕著だった。
カーシェアの利用目的は「旅行」が最も多く(44%)、前年比で4ポイント増加している。また、よく利用するステーションの立地では「旅行先、出張先の駅や空港近く」が前年より増え、約2割に達しており、地方都市や観光地での利用も拡大していることがうかがえる。
しかしながら「旅行先、出張先の駅や空港近く」のステーション利用者の満足度は前年比で大幅に低下している。地方ではステーション数が限られ、旅行需要は特定の時期やエリアに集中しやすいため空車不足が発生しやすく、結果としてステーションの利便性評価の低下を招いていると考えられる。
駐輪スペースの設置、満足度向上に有効
一部の事業者では、駐輪スペースを設けるなど自転車での来場が可能なステーションを展開していることを受け、本年調査より「ステーションまでの主な移動手段」に関する設問を追加した。
よく利用するステーションの立地が自宅周辺または自宅の最寄り駅近くの場合に、「自転車」を利用する割合は14%と一定数いることが明らかとなった。また、これらの「自転車」ユーザーの総合満足度スコアは693ポイントで、「徒歩」ユーザー(668ポイント)より高いことが確認された。自転車でのアクセスが可能になることで、利用できるステーションや車種の選択肢が広がり、利便性が向上し、高い満足度につながっていると推察される。
カーシェア事業者にとっては、駐輪によるトラブルや接触事故等のリスクを踏まえた安全対策に配慮しつつ、自転車でのアクセスの受け入れ態勢を整備することで、満足度の向上や商圏の拡大が期待できると考えられる。
