(※画像はイメージです/PIXTA)

ビジネスパーソンにとって「現場」はそれぞれ異なります。熱気がこもる工場の場合もあれば、冷暖房が整うオフィスの場合もあるでしょう。本記事では、コロナ禍より前に社長のフルリモート化を実践してきた平井康介氏が、著書『僕がフルリモートで会社を経営する理由』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集し、最適な現場で仕事行う重要性について解説します。

人によって異なる現場

ものづくり企業ではよく、事務所の人間は楽な環境で働いていると言われがちです。この発言の背景には、工場では滝のような汗をかくほど猛烈に暑い環境で作業しなければならないのに、事務所は冷房が効いていて涼しい環境で仕事ができる状況が羨ましいと思っていることがあります。

 

出勤することなく自宅でできるリモートワークが浸透するとさらに、事務所の人間は楽と思われがちです。

 

しかし私はそれぞれの職業や職種にはやるべきことがあって、そのことで最大限の成果を発揮できる場所で働くべきだと考えています。これが私の考える現場になります。

 

溶接工が溶接の仕事をするとき、家でできるのであれば家で行えばいいですし、つくるものが使われる場所で溶接するのがいちばんいいという判断になれば、そこで溶接作業をするのが望ましいのです。自分がいちばん輝ける場所で仕事をするにあたっては現場に出向くこともあるでしょうから、そのときは現場に行けばいいのです。

 

間違っていると思うのは、意味もなく働く場所を限定することです。溶接工は工場で作業すること、といったように働く場所は限定するべきことではありません。工場で作業するのがベストだと判断したときは、工場で作業すればいいだけのことです。

 

ものづくり企業の社長が仕事する場所は工場と限定されたら、私は邪魔になってしまいます。工場の中を歩き慣れていませんし、分からないことも多いです。仕事は最大限の成果を発揮できる場所でするべき、ということは常日頃から社員に向けて言っています。

 

そのため、事務所の人間は楽といったものづくり企業での言われがちな不満は社内では見られません。現場とは仕事で最大限の成果を発揮できる場所であると定義した場合、ものをつくる場所、施工・据付する場所だけが現場ではないことになります。

 

人によって現場は異なるのです。仕事の内容や状況、進み具合に応じても現場は変わってくることになります。

三現主義を実現する会社

現場に関する私の考えはこのとおりですが、ものづくり企業のなかには現場で現物を基に現実を認識して問題を解決する三現主義を実践する企業があります。トヨタ自動車や本田技研工業がその代表的な企業として挙げられます。

 

三現主義の考え方は、現場で現物を確認し、現実を直視することで問題解決に結びつける重要な手法です。特に、ものづくり企業ではその実践が欠かせません。社長が不在でも社員が自ら現場に出向き、現物を基に判断することで、全員が最大限の成果を発揮できる環境を整えることができます。

 

こうして、社員一人ひとりが「自分の現場」で責任をもって仕事に取り組むことで、企業全体の強さが確立されるのです。

 

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※本連載は、平井康介氏の著書『僕がフルリモートで会社を経営する理由』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・編集したものです。

僕がフルリモートで会社を経営する理由

僕がフルリモートで会社を経営する理由

平井 康介

幻冬舎メディアコンサルティング

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