(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は、感謝と同時に複雑な感情が交錯する場面でもあります。多くの人が経験する現代において、その難しさは決して他人事ではありません。本記事では、田中姉妹の事例とともに相続の実情を合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。※相談事例は本人の許諾を得てプライバシーのため一部脚色しています。

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姉の本来の老後計画

貴和子さんは信じられない思いで、さらに証拠収集を進めました。母名義の通帳や取引履歴を詳細に調査し、不自然な引き出しパターンを特定。また、母が施設入所中で判断能力が低下していた可能性についても医療記録を確認しました。その結果、美樹子さんの不正利用は明らかとなりました。

 

このような場合、法的には不当利得返還請求や遺産分割調停などの手続きが考えられます。美樹子さんによる使い込み分を遺産として戻すよう求めることができるのです。ただし、法的対応には時間と費用がかかるため、状況に応じた慎重な判断が必要です。

 

相続トラブルは家族関係に深刻な影響を与えます。美樹子さんの行為は、姉妹間の信頼関係を根本から揺るがしました。

 

貴和子さんはいいます。

 

「老後は、年金を合わせれば経済的にも精神的にも安心できるので妹と2人で暮らしたほうがいいと考えていました。合わせても月21万円程度の年金では、2人で支え合うしかないと思っていたのに。一番身近な信頼していた肉親からこんな仕打ちを受けるなんて……。老後の計画をゼロから考え直さなければなりません」

取り返しのつかない後悔と、今後の教訓

このようなケースは、実は珍しくありません。年金だけでは厳しい老後に遺産が重要な生活資金となるなか、財産管理を一人に任せきりにすることのリスクを示しています。

 

こうした事態を防ぐためには、定期的な財産状況の確認や、複数人での管理体制の構築が重要です。また、高齢の親の財産については、生前から家族で話し合いの場を持ち、透明性のある管理方法を決めておくことも効果的でしょう。

 

万が一トラブルが発生した場合には、早い段階での証拠収集と冷静な対応が肝心です。適切な法的手続きを通じて解決策を講じることで、公平な相続分配を実現し、可能であれば再び家族として向き合う機会も生まれるかもしれません。

 

最後になりますが、美樹子さんは自らの行動を深く反省し、姉妹で協力して老後の生活設計を見直すことになりました。「これからもお互い支え合っていこうね」貴和子さんが歩み寄りの姿勢をみせ、かけてくれた言葉に美樹子さんは涙ながらに頷いたといいます。

 

 

三原 由紀

合同会社エミタメ

代表

 

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