(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は、感謝と同時に複雑な感情が交錯する場面でもあります。多くの人が経験する現代において、その難しさは決して他人事ではありません。本記事では、田中姉妹の事例とともに相続の実情を合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。※相談事例は本人の許諾を得てプライバシーのため一部脚色しています。

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遺産分割で露わとなった妹の所業

いよいよ遺産分割の話し合いになると、美樹子さんの様子が明らかにおかしくなりました。まるで滝のように汗が流れ、普段からは考えられないほど言葉少なに振る舞い、貴和子さんと目を合わせようとしません。この不自然な態度に、貴和子さんは強い違和感を覚えました。

 

話し合いが進むうち、母の預貯金額が予想より大幅に少ないことが判明します。通帳には800万円しか残っていなかったのです。

 

「どうしてこんなに減っているの?」と貴和子さんが問いただすと、美樹子さんはさらに動揺し、顔を赤らめながら曖昧な返答を繰り返しました。

 

浮かび上がる疑惑…母名義の預貯金減少の理由

貴和子さんは不審に思い、母の通帳や取引履歴を詳しく調べることにしました。すると、美樹子さんが母と同居していた時期から、定期的な引き出しが行われていたことが判明。特に母が施設に入所したあとの2年間には、数十万円単位の引き出しが頻繁に行われ、その総額は約700万円に上っていました。

 

美樹子さんは「母から頼まれて使った」と弁解しましたが、「貯金には絶対手をつけない」と記したノートの存在前には説得力がありません。追及を受けた美樹子さんは、ついに真実を告白しました。

 

日ごろのストレス発散に始めた「推し活」が心の拠り所に。母の施設入所が決まり、長年の介護の重責から解放され、SNSで知り合った仲間の影響でのめり込み、アイドルやアーティストのコンサートチケット、限定グッズの購入、地方への遠征費用など、次第に歯止めが効かなくなったそうです。自身の老後の年金が少ないことへの焦りから、「いまを楽しもう」という気持ちが強くなっていき、母の預金に手をつけるようになってしまったとのこと。

 

貴和子さんはショックを受けました。幼いころからなんでも語り合える仲だった姉妹。母の介護前には父親の介護も協力して乗り越えてきた間柄でした。しかし、この事実によって姉妹間の信頼関係には深い亀裂が生じてしまいました。

 

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