4月の注目点…米景気の悪化が本格化か?
もう1つ、米国株の動向にも注目したいと思います。ナスダック総合指数は3月にかけてこの間の高値から一時15%程度まで下落率が拡大しました。この背景には、米景気の減速懸念が挙げられます。
米国実質GDP伸び率は、2022年第3四半期以降前期比年率プラス、つまり景気回復が続いてきました。しかし、足下の2025年第1四半期は一部予想では2022年第2四半期以来のマイナスへ転落する可能性が高くなっているようです。
米国株は、過去2年以上も本格的な調整安もない上昇傾向が続きましたが、それを支えたのが景気回復でした。したがって、米景気の減速により、米国株の調整安が本格化するリスクにも注意が必要です。
4月は、イーロン・マスク氏が主導する政府の支出削減計画を受け、雇用統計が本格的に悪化する可能性があるほか、トランプ大統領の関税政策による個人消費の後退が顕在化するなど、米景気の悪化が明確になる可能性があります。
したがって、日米の金利差拡大にともなう米ドル/円反発にはおのずと限界があり、むしろ米国株の下落などによっては日米の金利差がこの間の安値を更新し、一段と縮小する可能性もありそうです。
以上を踏まえ、4月の米ドル/円は〈145~152円〉と予想したいと思います。
今週は、雇用統計など3月の米経済指標発表に注目
ここまでみてきたように、今週発表となる3月の米経済指標は、雇用統計などを筆頭に急悪化を確認する可能性が高いでしょう。
予想以上の悪化となった場合は米金利低下が再燃し、予想ほどの悪化でなかった場合にもこの先の悪化を示す経済指標が発表される可能性があることから、米金利上昇は基本的に限られるとみられます。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は〈147~152円〉と予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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