年収は努力で決まらない
さて、大事なことを書いておきます。どんなに努力して成果を出したって、お勤め先の給与設定が低いなら、給与は上がりません。なぜかこの世には「年収はその人が培った努力の証」という迷信が流布していますが、努力で給与が上がるなら、上場企業の社長ズの年収はとっくに1億になっていないとおかしいんですよ。
給与を決めるファクターとして最も大きなものは業界です。投資銀行や総合商社は年収が高く、ウエディングや介護、アパレル業界は年収が低い。これはもう、どうしようもない事実です。どんなにウエディング業界でトップの成果を出す方がいても、投資銀行の平均的な総合職社員より給与は低いでしょう。
「年収を上げるための努力をしないなら、それは能力がないのと同じだ」と言ってのける方がたまにいますが、そういう方に限って年収が……この話はやめましょう。なにしろ、人には得意と不得意があります。そして、偶然高年収になりやすい業界を得意とする方が、高年収になる世界なのです。
もっと言えば、高学歴な親のもとでは、子供は高学歴になりやすい傾向があります。そして、高学歴であればあるほど、年収は上がります。つまり、生まれでわれわれの年収はある程度制限されてしまうのです。もちろん例外はいるでしょう。しかし、それはあくまで「例外」であり、世界は不平等なものなのです。
そうした残酷な世の中においても、われわれにできることはあります。それは、自分の強みを活かすこと。そして、自分の強みを評価してくれる場所を選ぶことです。このあたりは、同じP&G出身の森岡毅さんが書いた『苦しかったときの話をしようか』にも書かれていたので、アメリカ系外資にいた者に共通するスピリットなのかもしれません。この世は理不尽であり、不幸である。しかし、不幸から脱しようとするか、悲劇の中で泣き続けるかは、自分で選べるのです。
転職でも副業でもいい。自分の環境を変えましょう。
