実は職場に「過剰適応」してしまっている?「自分やれます!」「コッカラッス!」感を出してまんまと失敗する人の末路

実は職場に「過剰適応」してしまっている?「自分やれます!」「コッカラッス!」感を出してまんまと失敗する人の末路
(※写真はイメージです/PIXTA)

「経験も少なく、若さしか取り柄がない」——そんな焦りから、やる気やバイタリティ(だけ)を武器に、倒れるまで働いてしまう人は少なくないのではないでしょうか。中堅世代の中にも、「自分もそんな働き方をしていたなあ」と共感する人がいるかもしれません。ライターであり、現在は編集プロダクションを経営するトイアンナ氏も、新卒時は外資系企業に就職し、毎日深夜25時まで働く日々を送っていました。激務のあまり、同期が次々と辞めていくような職場環境だったといいます。そんな著者が自身のキャリア形成で経験した「失敗」とは? 著書『えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール』(大和書房)から抜粋して紹介します。

倒れるまではたらく人は「無理をしない自分には価値がない」と思っている

私がキャリア形成において失敗したこと1位は、「バイタリティがあること」を売りにしてしまったことです。学生時代からノリと勢いでバイトをこなしてきたため「バイトを3つ掛け持ちしました!」「ときには徹夜ではたらくことも!」と、自分やれます! 「コッカラッス!」感を出してしまったのです。

 

採用担当者がこう主張する人間をどこへ配属させるかは火を見るよりも明らかです。当然ながら、私は最も忙しい部署へ配属されました。それもまた、やりがいがあるから楽しくてついはたらきすぎる。そしてぶっ倒れる。20代はこれの繰り返しでした。

 

この、「職場に過剰適応する→倒れる→休職を経て転職する」のサイクルを繰り返している方は結構います。特に、自己肯定感が低いタイプに多いと感じます。自分には根源的に価値がないから、はたらくことでしか、価値を提供できないと感じるわけです。

 

また、学生時代にも無茶を重ねてなんとか人生をやってきた経験があり、「自分は無能だが、努力の量でカバーできる」と誤認しているケースが多いのです。

 

実際は、そうなりません。なぜなら、ぶっ倒れるまではたらく方は「自分の強みを伸ばすためでなく、自分の弱みを克服するために努力する」からです。ギャラップ社の調査では、人が強みを知り、活かすようにすると、7.8%も生産性が高まることがわかっています。逆に、倒れるまではたらくタイプは「苦手なことをカバーしようと無理をしている」ので、生産性が上がらないのです。

 

たとえば、私は「お局的ポジション」の方と仲良くするのが苦手です。ここからすべて悪口を書きますが、お局ポジションの人は強烈なコンプレックスを抱えていて、そのコンプレックスを同僚で癒やそうとする面がありますよね。ざっくりした言葉でいえば「こじれている人」なので、たとえお局様を褒めても素直に喜んでくれません。

 

かつて、職場でお局様が「私にばかり仕事が集中してつらい」とたびたびこぼしていたことがありました。その方は社内で唯一の経理担当。会計業務がすべて、彼女へ集まってしまっていたのです。そこで「私は会計の専門的な仕事はできないと思いますが、少しでもお役に立てるよう、簿記を勉強させていただきます」とお声がけしたところ、お局様に激怒されてしまいました。お局様は愚痴っているふりをしていながら、実際には唯一の経理担当である自分に自負を抱いており、他の人間が簿記を勉強してしまうと自分の仕事が奪われると警戒したのです。

 

もちろん、空気読みが得意な方だったら「そんなこと、言われなくてもわかるでしょ」と思うでしょう。しかし、私はそういうタイプではない。にもかかわらず、「じゃあ、お局タイプがいない職場を探そう」と思わず、なんとかお局様に気に入られようと、努力してしまったのです。結果、お局様の愚痴に寄り添う飲み会へ、週3回参加することとなりました。さすがに多いよ! そして、ただでさえ裏が読めない人間に、週3の空気読みは不可能だよ! というわけで当然、ギブアップ。今に至ります。

 

逆に、その場所で評価されていた方は、そんなに飲み会へ付き合うことも、お局様に気遣うこともありませんでした。わざわざ無礼なことはしていませんでしたが「ほどよい距離」を置けていたのです。そして、お局様へはなるべく仕事を依頼しないようにしていました。「面倒な人にかかわるくらいなら、外注しちゃえ」というわけです。なぜ、私はそうしなかったのだろう……と、振り返れば後悔ばかりです。

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※本連載は、トイアンナ氏の著書『えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール』(大和書房)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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