いきなり転職したくなる気持ちは、わかる
本当にするかどうかはさておき、「転職したい!」と思ったことは、誰にでもあるんじゃないでしょうか。SNSには「極貧生活から一発逆転! 今では月商〇千万円! 今月はバリ島で1か月のバカンス」みたいな人があふれています。平常時なら詐欺だろうなとか、実は膨大な借金を抱えているのかも……と思えるものですが、家庭も仕事も荒れていると、そういう視野がビッッッッックリするくらい狭くなるんですよね。
キャリアの話から少し脱線して申し訳ないのですが、私はかつてDVの被害を受けていたことがあります。その相手と同居していたわけですが、なぜかそこで「弁護士を入れる」「警察に相談する」とか「黙って引っ越す」という選択肢を思いつけませんでした。「一生添い遂げるか、もう死ぬか」という、デスゲームのような世界観しか描けなかったのです。
当時の私は学生で、アルバイトを5つ掛け持ちしていました。そのお金はすべてDV彼氏の学費と生活費に消えていましたから、経済的な余裕はなし。しかも、その状態で相手はお酒を飲んで暴れるわけです。お互いがお互いの傷をなめ合う共依存関係になっていましたから、日々の情緒は嵐にもまれる海のよう。この状態では、まともな解決策を思いつけなかったわけです。
日本の正社員で転職率は7.5%(マイナビ2023年調査による) 。転職はいまだに珍しい選択肢です。にもかかわらず「転職したい!」と思うなら、精神的に追い詰められているケースが多くなります。会社でえげつないパワハラ・セクハラに遭っていたり、とんでもない常駐先でいじめられていたり。その状態で「冷静な判断をしよう」なんて呑気にアドバイスするほうが無駄というもので、高額な情報商材や投資詐欺、スピリチュアルやマルチ商法などにひっかかった方は、口をそろえて「あのときは心の余裕がなくて」とおっしゃいます。
だからこそ、いきなり転職したくなる気持ちはわかります。ただ、そういうときって、メンタルがそうとう追い詰められている可能性があるのです。ですから、まずは「その他」の選択を考えてみましょう。
