「自分にもできるかも!」と思う前に…増えている「無謀なフリーランス」。フリーランスになる上で「絶対に失敗する」2つの条件とは?

「自分にもできるかも!」と思う前に…増えている「無謀なフリーランス」。フリーランスになる上で「絶対に失敗する」2つの条件とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

会社を辞めてフリーランスになろうと考えている人もいるのでは? ライターであり、現在は編集プロダクションを経営するトイアンナ氏は「フリーランスになるうえで絶対に失敗する2つの方法がある」と断言。さらに、起業で成功する人の理由には「親の資産」が絡んでいる場合もあると明かします。著書『えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール』(大和書房)から一部抜粋し、フリーランスになる上で知っておいたほうがいいことを紹介します。

増えている「無謀なフリーランス」

さて、ここから先は上司に相談してもどうにもならなかった方へお配りする武器です。昨今、特に私の周りで増えたな……と感じているのは、「会社を辞めてフリーランスになろうと思っているのですが」と相談してくださる方です。もちろん、悪いわけではありません。と言いますか、私も会社員からフリーランスになって、そのまま法人化したわけですし。ただ、フリーランスになるうえで絶対に失敗する2つの方法がありまして、みなさんキレイにそのルートを選びがちなのです。

 

ひとつめの失敗は、自分が得意ではない業務でフリーランスを始めること。フリーランスとは、自分の能力を売って生計を立てるスキルです。つまり、能力や実績がない者を売っても、誰も買ってくれません。特にWebデザイナーとライターは未経験者かつ、その領域が得意でない方がデビューするケースが多くあります。

 

「デザイナー/ライターは能力より営業力が大事! 私も小学校のとき、国語や美術の成績はひどいものでしたが、今では年収〇万円!」といった売り文句の情報商材が多数あるせいかもしれません。フリーランスは営業“も”できないと生活できないだけで、能力がいらないわけではありません。また、苦手なものを頑張るよりも、長所を伸ばしたほうが成功しやすいことはすでに述べました。というわけで、フリーランスになって苦手なジャンルで一攫千金を狙うのは無謀としか言いようがありません。

 

ふたつめのよくある失敗は、価格競争が激しいジャンルへ飛び込むことです。多くの人が参加していて、どんどん安価で自分のスキルをたたき売りする分野の副業を始めると、とんでもない価格設定ではたらかされてしまいます。たとえば、ライターでは1文字0.3円などという、最低賃金の観点から見てアウトなのではないかという価格での依頼がよくあります。私の知る限り、最も筆が早い作家は〈物語〉シリーズで有名な西尾維新(にしおいしん)さんですが、その西尾さんでも1日2万文字。文字単価0.3円だったら日給6,000円と、東京都の最低賃金を割ってしまいます。

 

もちろん西尾維新さんの場合は、高い報酬をもらっていると思います。西尾さんのようにトップスターでない方でも、競争が激しいジャンルで高い原稿料をもらえる方には、それなりの理由があるわけです。たとえば、ライターなら固定ファンがいて絶対に読んでもらえるとか、医師やFPなどの専門性が高い資格を有しているとか、6時間以内に取材記事を納品できる……といった条件がある。言い換えれば、ライターもデザイナーも、未経験でお金をもらいやすいジャンルではない、というわけです。動画制作、アフィリエイト、手作りアクセサリー販売といった、誰もが参加しているジャンルで勝つなら、突出した何かが必要です。

 

私の周りでもいきなり大手企業を辞めてフリーランスや事業を始め、痛い目を見ている人を多数拝見しています。一番よくあるのは、飲食店を開業するケースです。料理上手な方と飲食の店主になれる方は、根本的に必要な能力が異なります。飲食店のしんどさの本質は「ほぼ同じメニューを、同じ味で提供し続けること」「決められた日に必ず店を開けること」「原価を考え、コストダウンしつづけること」にあります。この3つは、趣味で料理が得意な方には全く想定されない苦労です。

 

たとえば「やりたいときにやって、不定休にします」では、Web予約システムも使えません。そうなると、SNSで個別にやりとりするか、ふらっとやってきて入れる方だけ入るシステムになります。そこまでしてお店に来たいと言えるほどの味と接客力を多くの人が持っているかというと、かなり難しいでしょう。

 

副業をやりすぎて、離婚に至った事例も知っています。ある方は、副業でせどりを始めました。せどりとは、安く買ったものをよそで高く売ることを意味します。よく、中華系ECサイトで売られている商品がAmazonで高値取引されているのは、せどりをする人が多いからです。

 

このせどりは、見かけの売上は高いものの、利益率はごく一部。月商百万円でも、粗利が20万円なんてケースもザラです。在庫を家に置くとかさばりますし、取引連絡や発送手続きなど、事務作業が多いのも特徴です。

 

その方は「せどりで資産1億!」といった言葉に押されて副業を始めましたが、事務手続きの多さにプライベートの時間が壊滅。さらに、ライバルも似た商品を転売しているため、なかなか売上につながりませんでした。結果、「お金も稼いでないのに、家事も育児もしてくれない」と、別居からの離婚を突きつけられました。

 

仕事とプライベートに心が押しつぶされそうなとき、将来が不安なとき……。スクールに通うだけで始められるジャンルで独立したくなるのはわかります。しかし、実際フリーランスをやった身としても、そしてフリーランス育成に携わった経験からも、「自分の専門性を活かす市場を見極めてからフリーランスになる」ことを強くおすすめします。

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※本連載は、トイアンナ氏の著書『えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール』(大和書房)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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