「過剰適応している」自覚はありますか
そして、倒れるまではたらく人の多くに「過剰適応している」自覚はありません。むしろ、過剰適応なんてとんでもない! 自分なんてまだまだ努力が足りなくて……と言い出すケースのほうが多いのです。私も周りから「過剰適応して、また倒れるよ」と言われるまで、まさか自分がこのタイプだなんて思ってもみませんでした。
代わりに、過剰適応で倒れるタイプがよく考えているのは、こんなことです。
● 職場の〇〇さんに嫌われないよう頑張らなきゃ
● 新入りだからすぐに成果を出さないと
● 仕事を無理だと断る資格なんて、私にはない
● 上司を怒らせてしまったらどうしよう
「自分は職場にいるだけで価値がある」とは思えないため、努力でカバーするしかない。だから嫌われないように、なんとか評価されるように動いてしまいます。ですから、上司に「もっとこうしてください」と主張することもできませんし、頼まれごとに優先順位をつけることもできません。上司、上司の上司、お局ポジションの人、役職はないけど社歴が長い人、とにかく高圧的なシニア社員などなど、全員の主張を聞こうとしてパンクするのです。
しかも、私みたいにぶっ倒れるタイプは、こうした無理が「ある程度効いた」という成功体験を持っています。学生時代を振り返ると、夏休みの宿題を泣きながら3日で終わらせたり、一夜漬けのテストで最高評価を得たりしたことがある。アルバイトのシフトを入れすぎたのに「気合いでなんとかなっちゃった!」という経験もある。でも、この「なんとかなれー!」は、若くて体力があるときしか、どうにもならない。さらに言えば、苦手な分野はなんともなりません。
なのに、「なんとかなれー!」の呪文に頼っていたら、いつかは倒れます。でも、倒れたのもちょっと悪くないと思ってしまっていませんか。だって、それって自分が本気で頑張った証ですものね。
トイアンナ
ライター/経営者