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父が亡くなり、母も追うように他界
Aさんの父は90歳のとき、誤嚥性肺炎で亡くなりました。母も、父が亡くなった翌月に心不全で他界。父の葬儀が終わったばかりで落ち着く間もなく、今度は母の葬儀が続き、遺言書のことを考える余裕がありませんでした。
母の葬儀が終わり、やっと兄弟でゆっくり話せるというときに遺言書のことを思い出し、自宅を探すことに。しかし、なかなかみつかりません。
すると長男である兄が、「みつからなければ、3人で均等にわけよう」というのです。生前両親がいっていた遺言書のとおりにわければ、長男からすると、自宅は自分のものに加え相応の財産が入ってくるはずです。Aさんは「それでは兄(長男)が損をするのでは?」と不思議に思いました。
結局後日、公正証書遺言が発見されました。一緒に中身を確認するため、3兄弟は再び集まりました。いよいよ開封というとき、ふと兄が汗をかいていることにAさんは気付きます。心なしか呼吸も荒いようです。「どうしたのだろう。具合が悪いのか?」と心配していましたが、遺言書に記載されていたのは、驚きの内容でした。
遺言書の中身…億の財産はどこへ
遺言書は父が75歳のときに作成したものでした。しかし、当時の財産が1億2,000万円であることが記されているのに、父の通帳をみると2,000万円しかありません。Aさんと2番目の兄は目を疑いました。
遺言書作成時に1億2,000万円あったとされる財産が、2,000万円? 15年のあいだに1億円はどこへいってしまったのだろうか……仮に1億円がまるまる残っていたとすると、1億円を75歳から90歳までの15年、1ヵ月平均で56万円も使ったことになります。両親は年金のみで日常生活は問題ないと聞いていたことを考慮すると、いったいなにに使っていたのでしょうか。
次男が口を開きます「億のお金がそう簡単になくなるかよ」「大体高齢の親が月に50万円も60万円も使えるもんか」。だんだんと口調が荒くなっていきました。
Aさんは落ち着いて「頻繁に直接会っていたわけではないけれど、確かにとても散財しているようにはみえなかったな」とつぶやき、長男のほうを向きました。異常なまでの脂汗をかいています。
