「マレーシア最大の政府系企業CEOの娘」と「国内最下層40%の家庭の娘」が同じ寮で生活…「医師の子」がターゲットのインターナショナルスクール、驚きの実態

「マレーシア最大の政府系企業CEOの娘」と「国内最下層40%の家庭の娘」が同じ寮で生活…「医師の子」がターゲットのインターナショナルスクール、驚きの実態
(※写真はイメージです/PIXTA)

マレーシアに開校したイギリスの名門全寮制インターナショナルスクール、エプソムカレッジ。そこでは、AI教育の積極的な導入や、寮生活を通して生徒同士が対等な関係を築く取り組みがなされています。未来のリーダー育成を掲げる同校の代表が語る、テクノロジーの活用と人間性の育成を両立させる教育の重要性とは? 柴田巌氏の著書『未来をつくるインターナショナルスクール経営戦略』(プレジデント)を基に、次世代人材育成の課題を紐解いていきます。

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アジアのCEO3,500人全員が共通して抱える「一つの課題」

柴田

マレーシアをはじめとする東南アジア全体の教育が今後直面する課題についてどのようにお考えですか。また、マレーシアのエプソムカレッジでは、そのような課題や問題をどのように克服し、改善しようとしているのか、お聞きしたいと思います。

 

ランカスター

とてもいい質問ですね。2023年、『エコノミスト』の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニットとグーグルがあるレポートを作成しました。それは、アジア太平洋地域全体の多国籍企業や中規模から大規模企業のCEO3,500人にインタビューを行ったもので、CEOが自社を成長させ、今後も健全な状態を維持するうえで直面する課題に焦点が当てられていました。

 

回答者全員が挙げた最大の課題は、明日のリーダー、つまり最終的に自分たちの後を継ぐ人材を見つけることでした。ソフトスキルを持つ人材を見つけることに関して深刻な問題があることがわかったのです。

 

彼らはこういっていました。

 

「私たちは、最高の大学出身の学生を見つけて採用することはできるが、彼らにはグローバルな考え方、特にリーダーシップや社交性といったソフトスキルが欠けている」

 

柴田さんも私も企業に入社すれば、誰しも社内外の人々と適切にコミュニケーションをとり、彼らと関係を築き、指導し、動機づけ、導くなどのソフトスキルが極めて重要であることを知っています。これらは、多くのCEOが問題視している点です。

 

マレーシアには、「カザナ・ナショナル」という政府系ファンドがあります。この組織の一部門は教育助成金の提供に携わっており、大学進学前の奨学金(通常はAレベル、IBDPの場合もあり)と大学教育のための奨学金を提供しています。この組織は奨学金を出す大学のリストをかなり厳しく設定しており、マレーシア全土で最も優秀な少年少女に奨学金を支給しています。大学を通じて資金を提供し、その後、政府または政府系企業で働くように促します。

 

カザナ・ナショナルは政府系ファンドとして国家建設に関与しているという考えです。最高の機関から選ばれた最も優秀な人材を国家を率いるリーダーとして確保するために、長期的な投資決定を行っているのです。

 

彼らとミーティングした際に、彼らも同じ問題に直面していることが明らかになりました。マレーシアの最も優秀な若い男女のなかには、トップクラスのAレベル校に通うための奨学金を得ている人もいます。彼らは最高の成績を収め、特にイギリスやアメリカなど世界のトップクラスの大学からオファーを受けています。

 

しかし、学校では社交したりするといったソフトスキルを十分に学ぶことができていません。つまり、非常に知的な考えを持つマレーシア人が集まっているだけで、基本的なソフトスキルが欠けているという状況でした。留学先の大学で、彼らはマレーシア人としか交流せず、日本人やイギリス人などとは交流していませんでした。そして学位を取得したあと、彼らは帰国して労働力に加わりました。

 

しかし、彼らは明日の国を背負うリーダーとはいえません。そこでカザナ・ナショナルは私たちにアドバイスと助けを求めてきたのです。

 

彼らは、私たちが子どもたちに毎日行っていること、彼らが絶対的な自信を持てるようにするにはどうすればよいかを知りたかったのです。私たちの生徒たちは、たくさんの大人と同じ部屋に入れられ、大人と世界中の物事について会話したり、とても面白い方法で関わったり、独自の視点を持っています。これらすべてのスキルはとても重要です。特にカザナ・ナショナルにとっては絶対に不可欠です。 

 

そして、これはマレーシアだけの問題ではなく、他の東南アジア諸国でも同じです。私たちは生徒たちに、勉強、暗記、授業に時間を費やし、夜11時まで授業を受けるというだけの理解から抜け出すよう、変える必要があります。なぜなら、これでは明日の未来のリーダーが育たず、人々が最高の自分になれるようにはならないからです。

 

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※本連載は、柴田巌氏の著書『未来をつくるインターナショナルスクール経営戦略』(プレジデント)より一部を抜粋・再編集したものです。

未来をつくるインターナショナルスクール経営戦略

未来をつくるインターナショナルスクール経営戦略

柴田 巌

プレジデント

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