1月小売売上高は、反動から想定以上に減少
米商務省が公表した2025年1月の小売売上高は前月比▲0.9%(市場予想:同▲0.2%)、GDPのうち個人消費の推計に用いられるコントロールグループは前月比▲0.8%とともに市場予想を下回りました(図表1)。年末商戦にあたる2024年10-12月期は高い伸びとなったものの、年明けに失速した格好となりました。
1月は、娯楽用品(前月比▲4.6%)や自動車同部品(同▲2.8%)が大幅な落ち込みとなったほか、家具(同▲1.7%)や電気製品(同▲0.7%)、建築資材(同▲1.3%)など幅広い品目が減少しました(図表2)。これらは、1月の寒波やカリフォルニアの山火事が下押し要因となったほか、2024年後半にみられた関税引き上げ前の駆け込み需要の反動による一時的な落ち込みの側面が大きいと考えられます。一方、寒波にもかかわらず、1月の外食は前月比+0.9%と堅調な伸びを示しました。良好な雇用・所得環境が引き続き個人消費を下支えしていると考えられます。
1月の小売売上高は市場予想を下回ったものの、寒波やカリフォルニアの山火事の影響は一時的なものにとどまると考えられます。もっとも、関税引き上げを巡っては引き続き個人消費を下押しする可能性があります。2月のミシガン大学消費者マインド調査で示唆されたように、関税引き上げによる消費者マインドの悪化やインフレ懸念が、今後個人消費にどのような影響を及ぼすか見極めていく必要があります。
GDPのうち、個人消費の推計に用いられるコントロールグループを四半期ベースでみると、2024年7-9月期は前期比+1.4%、10-12月期が同+1.1%と高い伸びが続いたものの、2025年1月は10-12月期対比で▲0.2%となりました。コントロールグループなどの結果を反映したGDPNow※(2/19試算時点)によると、1-3月期の実質GDP(予測値)は前期比年率+2.3%と、ピーク(2/3)の同+3.9%から大幅に下方修正されています(図表3)。
(※アトランタ連邦準備銀行が、リアルタイムに⽶国の経済成長率を予測することを目的に公表している指標)
FRBが公表したFOMC議事要旨(2025/1/28、29開催分)では、労働市場の健全性に自信を示し、インフレについて2%に向けて進展しているという基本スタンスを維持しながらも、上振れリスクを警戒する意見が多く見受けられました。
FOMC参加者の殆どが、「2024年11月と12月のインフレ率はいくつかの主要なカテゴリーを含め、目標の2%に向けて顕著な進展を示した」と指摘しているほか、「住宅サービス(家賃)や非住宅サービスのインフレ率などの低下」も指摘されました。もっとも、労働市場が堅調であることや、米政府の政策に対する不確実性が存在していることもあり、多くの参加者が「インフレ率が持続的に2%に戻りつつあるという判断を裏付けるためには、ディスインフレ継続に関する更なる証拠が必要」と結論づけています。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…2月第3週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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