今後の再分配政策に求められる2つのポイント
戦後日本を振り返ると、1950年代に大企業・中小企業間の格差をめぐる「二重構造」論が展開されたものの、所得格差は高度成長とともに縮小していった。しかし、80年代に反転し、格差はそれ以降拡大傾向にある。敗戦で経済的に「リセット」された日本社会も、60年も経過すれば勝ち組・負け組がはっきりしてくる。しかも、その格差は教育機会などを通じて次世代に受け継がれつつある。今後の再分配政策には、次の2点が求められている。
第1に、同一世代内での再分配を重視する必要性が高まっている。これまで、若年層の負担で高齢層の所得を平均的に引き上げるという形で、再分配後の所得格差拡大は抑制されてきたが、少子高齢化のもとで、先細る若年・中年層に格差是正機能を期待するのはしだいに難しくなる。しかも、現役(勤労)層の所得が伸び悩むなかで、高齢層への所得移転は、世代間格差の拡大というもう一つの問題につながる。貧困リスクへの対応を含め、再分配は世代内での処理を優先するという視点が重要と考えられる。
第2に、再分配政策の対象を、世帯から個人にシフトしていく必要がある。生涯未婚率は今後も上昇が見込まれており、高齢世帯のうちかなりが身寄りのない単身世帯となっていくことが予想される。結婚した人々にとっても、子どもの数が少なくなっており、家族による支援を従来ほど期待できず、さまざまな社会的リスクに個人で立ち向かっていかなければならない人々も増えていくことが予想される。そうした個人をセーフティ・ネットを活用して支援していくことが求められる。
執筆者:村田 啓子
立正大学大学院経済学研究科教授
編者:大守 隆
元内閣府政策参与
編者:増島 稔
SBI金融経済研究所研究主幹・滋賀大学特任教授
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