吉野家の牛丼「400円→280円」マクドナルドのハンバーガー「210円→65円」に。2000年代平成デフレ期とは何だったのか…一億総中流から格差社会へ【専門家が解説】

吉野家の牛丼「400円→280円」マクドナルドのハンバーガー「210円→65円」に。2000年代平成デフレ期とは何だったのか…一億総中流から格差社会へ【専門家が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

1990年代、日本の消費は大きな転換点を迎えました。象徴的なのが、外食チェーンの値下げ競争。価格競争が激化する中、企業は「安さ」だけでなく「顧客満足」も追求し始めました。本稿では、デフレが生んだ「顧客第一主義」の背景について、北海道大学大学院経済学研究院准教授の満薗勇氏が、『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より詳しく解説します。

バブル崩壊後、長期経済停滞への転換と消費者利益

1985年のプラザ合意で、アメリカの対外不均衡の原因であるドル高の是正が先進五カ国の間で合意されたことを受けて、以後、ドル安・円高が急速に進展した。1986年の円高不況から回復した日本経済は、88年頃から景気過熱へと向かい、株価と地価の急騰によるバブル状態となった。

 

これに対して、1989年5月から公定歩合が段階的に引き上げられるとともに、90年4月から土地取引に対する総量規制が実施された。それにより、地価と株価が急速な下落に転じるとともに、設備投資は縮小して景気後退へ向かった。バブルの崩壊である。

 

以後、1990年代初頭からの日本経済は、長期経済停滞の時代を迎えた。GDP実質成長率は、1990~94年平均で2.2%、1995~99年平均で0.8%、2000~04年平均で1.5%、2005~09年で0.0%と低迷を続け(橋本寿朗・長谷川信・宮島英昭・齊藤直『現代日本経済 第3版』有斐閣、2011年)、「失われた10年」と呼ばれた停滞状況は「失われた20年」へと延びていった。

 

【図表】が示すように、消費者物価は1990年代に入る頃から上昇しなくなり、戦後日本における物価上昇の時代は歴史的終焉を迎えた(「2020年基準消費者物価指数」)。価格破壊や価格革命といった言葉が踊り、デフレ基調への転換という新しい時代へと突入したのである(橋本寿朗『デフレの進行をどう読むか 見落とされた利潤圧縮メカニズム』岩波書店、2002年)。

 

出所:
【図表】消費者物価指数の推移(1947-2023年) 出所:満薗勇著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社、2024年)

 

 

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本連載は、満薗勇氏の編著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

満薗 勇

中央公論新社

応援消費やカスハラなど、消費者をめぐるニュースが増えている。本書は、消費革命をもたらした一九六〇年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清…

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