4,000万円超の財産はすべて弟に?「家を継ぐのは弟だけど介護はあなたがやってね」疎遠だった実家からの知らせ。相変わらずの〈長男教〉の母に50歳女性が絶望したワケ【弁護士の助言】

4,000万円超の財産はすべて弟に?「家を継ぐのは弟だけど介護はあなたがやってね」疎遠だった実家からの知らせ。相変わらずの〈長男教〉の母に50歳女性が絶望したワケ【弁護士の助言】

長年疎遠だった家族から、突然「実家を守ってほしい」「介護をしてほしい」と言われたら、どう対応すればよいのでしょうか。特に、「家は長男が継ぐもの」という考えを持ちながらも、介護の負担は長女に押し付けようとするケースでは、不公平感や戸惑いが生じがちです。本記事では、親の介護と相続の関係に悩む亜矢子さん(50歳・会社員)の事例をもとに、相続専門の弁護士・板橋晃平氏が、法的観点から適切な対応について解説します。


家族との疎遠な関係と理不尽な要求にどう向き合うか

長年ご両親や弟とは疎遠になっていたにもかかわらず、突然「田舎の家を守ってほしい」「介護をしてほしい」と言われ、混乱し、戸惑っていることでしょう。

 

一方で、地元に残った弟や親戚は「家は長男が継ぐもの」という古い価値観を持ちながらも、介護の負担は長女である亜矢子さんに押し付けようとしています。また、相続についても「いっそ縁を切ってしまいたい」と思う反面、「すべての財産が弟に行くのは納得できない」という葛藤を抱えていらっしゃいます。

 

このような状況で、どう対応すべきか、法律の観点から一緒に考えていきましょう。


「介護の押し付け」と「相続の公平性」について考える

相続において「親の世話をしていたから多くの遺産をもらえるはず」と考える人は少なくありません。しかし、介護の負担と相続の取り分は必ずしも比例しないことを理解しておくことが重要です。

 

(1)介護をした人は多くの遺産を受け取れるのか?

親の介護をすることが、遺産を多く受け取る理由になるのでしょうか?

 

これについては、「寄与分(きよぶん)」という制度が関係します。

 

寄与分とは、「被相続人(親)の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人」に対し、通常の法定相続分より多くの財産を取得できる制度です(民法第904条の2)。寄与分が認められるためには以下の要件を満たす必要があります。

 

・財産の維持・増加に貢献したこと

・他の相続人と比べて特別な貢献があること

・無償で介護を行っていたこと

 

ここで押さえるべきポイントは、介護をしていたこと自体が相続の条件にはならず、弟が「介護をしたから家はすべて自分のもの」と主張するのは、法律的には認められないということです。

 

もし、介護を強要されていると感じるなら、「介護と相続は別の問題である」ことを家族に伝え、適切な話し合いをすることが大切です。

 

(2)相続放棄は慎重に判断を

今の状況に対して「もう関わりたくない」「相続放棄をした方が楽なのでは」と思うのも無理はありません。

しかし、相続放棄をすると、「最初から相続人ではなかった」とみなされるため、遺産も負債も一切引き継がないことになります(民法第939条)。

 

・財産も負債も一切引き継がない(ただし介護義務はなくならない)

・すべての財産が弟に相続される

・遺留分侵害額を請求する権利も失われる


もし両親に借金がある場合や、どうしても関わりたくない場合は相続放棄が有効な手段ですが、「財産をすべて弟に渡しても本当に納得できるか?」を考えてから決断することが大切です。

次ページ「相続権」はどうなる?
カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録