(写真はイメージです/PIXTA)

米国経済は2024年7-9月期も堅調な成長を維持し、個人消費の回復が景気を押し上げました。しかし、トランプ政権の再来により、関税引き上げや移民政策の影響が今後の経済成長やインフレ動向にどう影響するかが注目されます。今後の動向をみていきましょう。本稿では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が詳しく解説します。

インフレ高進と政策の予見可能性低下

上記見通しに対するリスクは、インフレ高進とトランプ氏の政策の予見可能性の低下が挙げられる。前述のようにトランプ氏が実現を目指す関税の引上げや移民の強制送還はインフレを押し上げる可能性が高い。関税の引上げは一時的なインフレ押し上げ要因とみられるが、不法移民の強制送還で労働力不足が深刻化し、賃金と物価がスパイラル的に上昇する場合にはFRBはインフレ抑制のために政策金利の引上げを余儀なくされる可能性がある。

 

また、トランプ氏がFRBに対して利上げしないように政治的な圧力をかける場合には期待インフレ率の上昇を招きインフレ高進リスクがより高まろう。この結果、早晩金融政策は引締め政策に軌道修正せざるを得なくなり、米国経済には下振れリスクとなろう。

 

一方、トランプ氏は24年11月25日にSNS上で薬物問題や不法移民問題を背景に中国からの輸入品に10%、カナダとメキシコからの輸入品に25%の追加関税を賦課する可能性を示唆した。カナダやメキシコに対する25%関税は選挙公約で言及されたことはなく、寝耳に水の政策であった。

 

トランプ氏の1期目を振り返っても、SNS上で唐突に政策方針が示されることが多く、2期目も同様の事が繰り返され、政策の予見可能性が低い状況が続くとみられる。

 

政策の予見可能性の低下は家計や企業の意思決定に影響を与えるため、個人消費や設備投資が抑制される可能性が高まろう。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月7日に公開したレポートを転載したものです。

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