(※写真はイメージです/PIXTA)

リハビリと聞くと「歩けるようにトレーニングする」など、ある程度自分の身体を動かせる患者が行うもの、というイメージがあるかもしれません。実際のところリハビリのなかには、痛みを和らげるための緩和ケアがあります。本記事では、居宅介護支援や訪問看護を提供する(株)一期一会の代表で看護師の安田由加理氏の著書『過疎地域の福祉革命』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋・再編集し解説します。

終末期患者へのリハビリ提供

私たちの事業所には、看護師だけではなく多くのリハビリ専門職がいることも特徴の一つです。彼らは終末期の患者に対しても、さまざまな形でリハビリを提供しています。例えばがんで入院していたBさんは、余命宣告を受けて先が長くないと知ると、家族と本人の強い希望で退院して自宅へ帰って行きました。

 

Bさんの願いは「最後まで、自分のことは自分でしたい」ということ。病気によって少しずつ体の自由がきかなくなっていったとしても、食事や排泄などできる範囲で自分のことは自分でやりたいというのがBさんの願いでした。そして、その願いを叶えるために私たちは、Bさんのリハビリを実施することになったのです。

 

最初は支えられれば自宅の中を移動できていたBさんですが、病には勝てず徐々にベッドの上で過ごす時間が増えていきました。ベッドで過ごすBさんに対しても、セラピストが関わることは多くあります。

 

例えば、ベッドで寝ているときに腰だけでも浮かせることができれば、オムツをスムーズに替えることができます。あるいはベッドの上で上半身だけでも起こすことができれば、食事も安全に食べやすくなります。セラピストはその人に残った能力を最大限に引き出して、自宅での生活を少しでも快適に過ごせるようにサポートできるのです。

 

このように次第に動けなくなったBさんに対しても、私たちの事業所のセラピストは最後まで関わり続けました。そして2、3カ月が過ぎた頃、Bさんは自宅で息を引き取りました。家族は深い悲しみに包まれながらも「家で過ごすことができて良かった。最後までセラピストの人たちにサポートしてもらうことができて、嬉しかった」と言ってくれました。

 

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本連載は、2024年12月24日に刊行された安田由加理氏の著書『過疎地域の福祉革命』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集したものです。

過疎地域の福祉革命

過疎地域の福祉革命

安田 由加理

幻冬舎メディアコンサルティング

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