(※写真はイメージです/PIXTA)

インターネットやSNSの普及によって、私たちは日常的に膨大な情報に触れるようになりました。さまざまな情報が瞬時に手に入るようになった半面、不正確なものや誤解を招くようなものも混在しており、ユーザーには情報を選別するメディアリテラシーが求められます。特に医療分野は、誤った情報を掴むと取返しのつかない事態を招きかねません。本記事では、医師の小田切恵三郎氏による著書『真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、声帯に関する情報の真偽について解説します。

喉の乾燥対策

喉の乾燥を防ぐ方法として、水分をこまめに取るとか、部屋を加湿するとかいわれていますが、これには誤解があると思っています。

 

外の冷たくて乾いたほこりっぽい空気を、温かく湿らせてほこりを取り、肺に送るのが鼻の役割だと思います。鼻が詰まって口で呼吸をすると、そのすべてを口がしないといけなくなります。あるいは、冷たく乾燥しほこりがあったまま肺に送られることもあるかもしれません。

 

ということは、喉の乾燥を防ぐにはまず、口呼吸をしないで、鼻で息をすることです。入ってくる空気を保湿するために、マスクも有効だと思います。

 

水分を取るのはあまり意味がないと思います。口呼吸で口の中が乾燥してしまう人には有効かもしれませんが、飲み物食べ物は、喉の上のほうや声帯、気管支、肺を通ることはありません。潤わせたい部分を潤わすことはできません。

 

温かい蒸気を鼻から吸うことが、喉全体と、声帯気管支を潤わす方法となります。医療用などの吸入器を鼻から使うことが最も有効ですが、日常では、温熱蒸しタオル作戦をおすすめしています。おしぼりやタオルを濡らしてレンジでチンして、ホカホカの蒸気を顔に当てて鼻から吸う。そして口から出す。あらゆる呼吸器系感染症に有効なんじゃないかな、と思っています。それから、熱めのお風呂。これも蒸気をたくさん吸えるので、鼻、喉、肺を潤わせると思います。ということは、自分で試したことはありませんが、スチームサウナや温泉も呼吸器系にはいいかもしれません。

部屋を加湿しても意味がない?

それから、部屋の加湿器。これは微妙だと思います。確信はないですが、どちらかというとあまり意味はないんじゃないかなと思っています。

 

空気そのものを湿らせるのか、湿度を100%にするのか。というのも、飽和水蒸気量(空気1リットルの中に溶けている水の量)、というものが考えの基本にあるからです。気温0℃では5g、10℃では9g、20℃では17g、30℃では30gくらいです。

 

つまり、部屋の温度が10℃なら、湿度100%で空気中に水が9g溶けていますよ、という意味です。それ以上加湿してしまうと、部屋の壁に結露が起きて、時に壁にカビが生えます。

 

ということは、10℃の湿度100%より、30℃の湿度50%のほうが空気は潤っているということになります。だから私は、加湿器を使うときは、部屋の温度を上げないと意味がないのではないかと思っています。加湿器を使うときは、部屋のカーテンや壁に結露しないように注意しつつ部屋の温度を上げたうえでの使用がいいかもしれません。ぜひ参考にしてください。

 

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※本連載は、小田切恵三郎氏による著書『真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです

真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30

真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30

小田切 恵三郎

幻冬舎メディアコンサルティング

インターネットやSNSの普及によって、私たちの日常には膨大な情報があふれかえるようになりました。さまざまな情報が瞬時に手に入るようになった半面、その中には不正確なものや誤解を招くようなものも含まれています。著者に…

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