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少子高齢化が進む現代…相続のカギを握る生前の「準備」
「相続」という言葉に抱くイメージとはどのようなものでしょうか。
多くの人々にとって、亡くなった親の財産を子どもたちが分け合うというものではないかと思っています。実際の相続の現場は、ただの「財産の分け方」だけでは語り尽くせないほど多岐にわたります。特に、最近の相続はその「準備」がより一層重要になってきています。
少子高齢化が進むなかで、親世代が保有する不動産や金融資産の承継が急務となり、「相続税申告」だけでなく「相続対策」そのものが重要な課題となっているからです。企業経営者の事業承継だけでなく、不動産オーナーの資産承継も同様に複雑なテーマとなりつつあるのです。
子どもが積極的に関わることで「適切な準備」が進められる
これまでの「相続解説本」とは一線を画した新しいアプローチを採用しています。それは子どもの立場から「相続対策」を考えるという視点です。
これまでは、相続の主役は“親”でした。親が亡くなったあとに、子どもたちがどのように財産を分けるかが主要なテーマでした。しかし親が亡くなる前から、子どもが主体的に関与していくべきであると筆者は考えます。親が元気なうちから子どもが積極的に関わることで、資産の全体像を把握し、適切な承継の準備を進めることが可能になります。
■なぜ「子どもが主体的に関わる」必要があるのか
親が元気なうちは、資産の状況を誰にも見せないケースが多く見られます。「うちの家族は問題ないから大丈夫」という漠然とした安心感があるため、なかなか家族会議が開かれません。ところが、親が高齢化して突然病気や認知症になってしまった場合、子どもたちは“何も知らない”状態から相続手続きを進めることになります。
親がどの銀行にどんな預金を持っているのか? どこに不動産があるのか? 遺言書はあるのか? これらを「相続が発生したあとから探す」のは非常に大変です。相続税の申告期限は10ヵ月以内と決まっています。その短い期間に必要な資料を集め、遺産分割協議を行い、税金を納めなければならないのです。
■子どもが主体的に関与するメリット
子どもが主体的に相続対策に関わると、以下のメリットが得られます。
○相続税の負担軽減が図れる
「生前贈与」や「小規模宅地等の特例」などで、早めに対策を講じることが可能になります。
○もめ事を未然に防ぐことができる
生前に話し合うことで、きょうだい同士のトラブルを防げます。
○スムーズな相続手続きができる
親の資産を把握しているため、亡くなったあとも速やかに相続手続きを進めることが可能です。
○親の意思を尊重した遺産分割ができる
親が元気なうちに意思を確認し、遺言書の作成に取り組めば、家族が納得のいく分割が可能です。