毎週孫に会いに来るお嫁さんの両親
さくらさんの両親もさくらさんが1人娘ということもあり、孫をとてもかわいがっていました。距離も近いことから毎週のように大阪や神戸の家で会っていたそうです。
そんな生活が2年以上続き、孫もさくらさんの両親にべったり甘えるように。そして、長崎の実家にはお盆もお正月も忙しいからと帰ってこないのです。
一度孫が「長崎のおじいちゃん家にも行ってみたい」と言った時ときに、日帰りで帰ってきただけで、その時もさくらさんは来ませんでした。
孫から受けた衝撃の言葉
孫も幼稚園に通うようになり、ますます可愛い盛りに。孫の誕生日は12月20日。誕生日にはクリスマスプレゼントも兼ねてプレゼントを贈るなどしていた恵美子さんですが、あるとき孫との電話でビックリすることを言われたのです。それは「おばあちゃん。なんで神戸のおじいちゃんとおばあちゃんはクリスマスプレゼントをくれるのに、おばあちゃんはくれないの?」との言葉です。
「ああ、悪かったね。すぐに送るからね」と返したものの、内心「誕生日プレゼントとクリスマスプレゼント二つ用意しろってこと? 両親からもプレゼントはもらうだろうに……。ちょっと甘やかしすぎなのでは?」と思いました。
お互いの家の経済的格差
さくらさんのお父さんは大手企業の役員まで務めた人で、退職金や企業年金が多く、定年後も年間500万円ほどの年金を受け取っていました。
それだけ余裕があれば、孫に何でも買ってあげられるし、旅行にも連れていってあげられるでしょう。事実、毎月のように服を買ってあげたり、おいしいものを食べさせてあげたりしていたようです。
しかし、恵美子さんは夫が転職を繰り返し、最終的に事業を興したものの失敗して800万円もの借金を抱えていました。そんな理由もあり、あまり贅沢なことはできなかったのです。
年金も夫婦合わせて月20万円程度しかなく、また長男もまだ結婚していません。長男は定職に就かず、住み込みのバイトを繰り返しているため、なかなか返済も進みません。
夫の死亡後、次男から相続放棄の連絡
次男が結婚してから15年程経った頃、夫にがんが発覚し、あっという間に亡くなってしまいました。お葬式には次男夫婦と孫が大阪から駆けつけ、10年以上ぶりに大きくなった孫を見て、時の流れを感じずにはいられません。
そして葬儀が終わり、次男家族が大阪に帰ったあと、次男から相続放棄の連絡が届いたのです。夫には死亡時まで借金が残っており、それを相続したくないためでしょう。
実は夫が生きているときに、借金の返済のために次男にお金を借りようと、お願いしたことがあったのです。そのときは貸してもらったものの、約束した返済期日を過ぎるとお嫁さんから催促の電話がかかってきました。さくらさんが快く思っていないことは明らかでした。
恵美子さんは今年で78歳になります。借金は夫の死亡保険金で返済でき、今は長男と暮らしていますが、次男とはほとんど連絡を取っていません。長男がいまだに結婚していないため、今後、お墓や家をどう守っていくか心配ですが、次男や孫が守ってくれるとは到底思えません。孫はさくらさんの家の養子になりたいとまで言っていたからです。
長男と相談し、恵美子さんが亡くなった後は、夫と一緒のお墓に入れてもらうようお願いしていますが、その後、長男が墓じまいや家の処分などを考えた際には任せることにしています。最初はなんとか墓だけは残してほしかった恵美子さんですが、最近墓じまいが増えているというニュースを見聞きし、「これも時代の流れ」と思うようになりました。
心のどこかで「跡を継いでくれる孫がいるのに」と思うこともないとは言えませんが、そうはならないこともあるのだと割り切るようにしています。「次男はもういないものとして考えよう」それが恵美子さんが出した結論でした。
昔と今では家に対する考え方が変わっています。当たり前のことが当たり前ではなくなってきているのです。家の問題はもちろん大切ですが、時代に合った考え方にこちらから合わせることも必要になってきていると言えそうです。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
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