お金だけあっても…思わず涙
昨年、佐藤さんの両親が相次いで亡くなりました。突然父が倒れ、悲しみの中見送った後、わずか2ヵ月ほどで今度は母が倒れ、亡くなったのです。
「親が倒れたら介護しなければならないのか」といった不安をうっすら抱えていた佐藤さんですが、そうしたこともなく、あっという間に別れが訪れた形でした。
しばらくたって気づいたのが、自分の孤独です。親からかかってきた電話もなくなり、完全に1人になったことが、想像以上に佐藤さんを苦しめることになったのです。
遊びに出かけたり趣味を持ったりすればお金がかかるからと、人付き合いを後回しにしてきたせいで、いまや友人は1人もいなくなっていました。街中で友人同士で歩いたり、子や孫と楽しそうに話す同年代を見かけたりすると、つい妬ましくなってしまいます。
「自分に何かあったときに、心配してくれる人はこの世に1人もいないのか。確かにお金は必要だけど、もっと大切なことがあったんじゃないか。お金だけあっても意味がない……」
そう思い詰めて涙をこぼすことも。誰とも話さない時間が長く、鬱に近いような状態になっていた佐藤さんは、医者に助けを求めました。
その医者の勧めで町内のボランティアに参加することにしました。それまでボランティアなどには興味がなく、無縁の人生。しかも、まったく知らないコミュニティに入るのは、佐藤さんにとって勇気のいることでした。
最初に参加したのは花壇の手入れのボランティア。緊張しながら参加すると、思いのほか楽しく、佐藤さんの心は一気に晴れやかになったといいます。
さらにボランティアを通じて知り合った人を通じてシニアが集まるコミュニティにも参加。朝集まって体操をしたり、ウォーキングをしたり、ハイキングに出かけたり……。
70代を過ぎてもやり直せると、今は前向きに暮らしているといいます。
友人がいないシニアは意外と多い?
内閣府の「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」によれば、「ふだん親しくしている友人・仲間の有無」について、以下のような結果が出ています。
ふだん親しくしている友人・仲間の有無(60歳以上を対象に調査)
・たくさん持っていると感じる:4.9%
・普通に持っていると感じる:38.3%
・少し持っていると感じる:35.1%
・ほとんど持っていないと感じる:14.6%
・持っていないと感じる:6.4%
・その他:0.7%
※令和3年度「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」/内閣府
友人や仲間を「普通に持っている」「少し持っている」が70%以上を占めるものの、「ほとんど持っていない」「持っていない」も合わせて20%程度います。
もちろん友人や仲間とのつきあい方は人それぞれなので、「いない=幸せではない」ということはありません。他人と交流することで抱えるストレスもあるので、1人がまったく苦にならないという人もいるでしょう。
とはいえ、佐藤さんのケースのようにお金を最優先にした結果、過去を悔やむという結果になるのなら、それは考えもの。貯金をしながら人生を楽しむバランス感覚が大切なのかもしれません。
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