「あと5年ここで働くのはキツイ」加藤さんの深刻な悩み
加藤正利さん(仮名・当時59歳)は、地方の中小企業に勤めるサラリーマン。年収は720万円、妻は専業主婦。娘と息子が1人ずついますが、すでに独立済みです。
営業マンとして働いていた加藤さんは、長年働いていた会社に愛着があったものの、翌年に控えた60歳からの継続雇用に密かな悩みを抱えていました。
営業成績を管理するために部下に厳しい態度を取らざるを得ないことも多く、一部の部下からは疎まれている気配を感じていた加藤さん。
60歳以降は役職がなくなり、部下だった社員が上司になるのが通例。しかも、給料は今の6割程度に減る見込みです。
貯蓄は1,800万円あり、退職金は2,000万円の見込みで、住宅ローンの返済が70歳過ぎまで続きます。65歳まで働けば老後はなんとかなるだろうと考えていましたが、あと5年、不遇の環境で働くことが憂鬱でした。
しかし、そんな加藤さんに思わぬ転機が。長く付き合いのあった営業先の担当者から「もしよかったら、うちに来て仕事をしませんか?」と声を掛けられたのです。
話によれば、経験豊富で社員の業務管理をできる人材を求めていたとのこと。収入も現在よりは下がりますが、継続雇用で残るよりは高い金額を提示されました。
加藤さんにとっては願ってもない機会。現役時代の最後、新しい環境で心機一転頑張る方がずっと楽しそうだ。そう思い、長く勤めた会社を後にしました。
しかし、この前向きな気持ちはそう長くは続かなかったのです。
