参考にすべきは大手分譲マンション。「今度はいつどこに建つんですか?」と聞かれる分譲住宅「ブランディング」のコツは?

参考にすべきは大手分譲マンション。「今度はいつどこに建つんですか?」と聞かれる分譲住宅「ブランディング」のコツは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者であれば、極力少ないリスクで大きなリターンを得たいと思うものでしょう。「分譲住宅経営」において最小限のリスクで事業を成長させるには、どのような工夫が必要なのでしょうか。本稿では、「株式会社戸建分譲総研」代表取締役・奥村友裕氏の著書『分譲住宅ブランディング戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、顧客を振り向かせる分譲住宅の「ブランディング」を成功させるコツについて、詳しく解説します。

顧客を振り向かせる分譲マンション「ブランディング」のコツ

例えば、大手住宅会社の分譲マンションのチラシには、美しい夜景の写真をバックに充実した生活を想起してもらうキャッチコピーが大きく記され、住宅の性能や設備、間取りについては隅に小さく書いてある程度です。

 

WEBサイトでも同様で、自社がアピールしたい魅力ではなく、顧客が価値を感じる魅力にフォーカスしたブランディングがおこなわれているのです。

 

分譲住宅業界も大手分譲マンション同様に、自社が誇りに思う魅力ではなく、顧客が価値を感じるポイントに狙いを定めたブランディングをおこなう必要があるのです。

 

一方で、競合との差別化の要素として、設備や性能を正確に伝えたいという気持ちも分かります。

 

再生可能エネルギーや天然素材を使った自然環境に優しい住宅など、他社とは違うポイントはきちんと売り出したいと思うのは当然のことですが、その伝え方や見せ方は工夫する必要があります。堅苦しい文章だけで顧客に振り向いてもらうのは期待できません。理屈ではなく感性を刺激する伝え方をすべきなのです。

 

大手分譲マンションがおこなっているブランディングはまさに、世界観や顧客の自己実現欲求を刺激する情報にあふれ、設備や性能の見せ方についても知恵と工夫を凝らしています。分譲住宅も従来どおりの方法を踏襲するだけではなく、新しい工夫を施す必要があるのです。

分譲住宅も的確なイメージ戦略で売上を伸ばすことができる

設備や性能を売りにしてきた古い体質の分譲住宅業界で、大手分譲マンションのような洗練されたブランディングが果たしてできるのか、疑問に思う人もいるでしょう。しかし、実際にイメージ戦略的なブランディングによって顧客層を広げて売上を伸ばしている企業があります。

 

例えば、大手ハウスメーカーA社のハウスブランド「Hハウス」です。元々地震や火事などに強い丈夫な家であること、つまり性能や機能を売りにしていたHハウスですが、数年前からライフスタイルにフォーカスし、それに合ったブランド構築に本腰を入れ始めました。

 

住宅のデザインだけでなく、広告のクリエイティブにも力を入れており、直感的に「かっこいい」と感じるような売り出し方を進めています。間取りや設備も顧客のライフスタイルに合わせて選べるプランを用意しており、顧客の自己実現欲求を満たすことを最優先にしています。暮らしをイメージできるブランドへとかじを切っているのです。

 

このように、機能と性能に特化したイメージが強かった住宅メーカーが、ある意味正反対の生活重視のブランディングをおこなう時代です。せっかく築き上げたイメージを捨てるのですからそのための時間もコストも並大抵ではなかったはずです。

 

それでも、顧客の自己実現を優先したブランディングに変えていかなければ、大手企業であっても売上を伸ばすのが難しい時代が到来しつつあるという証拠なのです。知名度や資金力に劣る中小企業に至っては、いわずもがなです。

次ページここに住みたいと直感的に思わせるデザイン

※本連載は、奥村友裕氏による書籍『分譲住宅ブランディング戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

分譲住宅ブランディング戦略

分譲住宅ブランディング戦略

奥村 友裕

幻冬舎メディアコンサルティング

デザイン力・営業力・マーケティング力を身に付け 大手メーカーに負けない独自ブランドを確立する! 我が国の新設住宅着工戸数は、1991年度の167万戸をピークに下降の一途をたどり、2022年度には86万戸に減少し、2040年度…

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