40歳、元金4,000万円でFIRE、海外移住で“悠々自適”が一転→物価高に対応できず白旗。“職探し”の末、初めて気づく「捨てたものの大きさ」【元ゴールドマン・サックス証券マンがFIREのリスクを解説】

40歳、元金4,000万円でFIRE、海外移住で“悠々自適”が一転→物価高に対応できず白旗。“職探し”の末、初めて気づく「捨てたものの大きさ」【元ゴールドマン・サックス証券マンがFIREのリスクを解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

世界的に注目されているFire。資産運用を軌道にのせ、早期退職する生活に憧れる方も多いことでしょう。しかしFireを実現することを考えるといくつかの課題を解決しなければなりません。本記事では、田中渓氏の著書『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)より一部抜粋・再編集し、FIREを実際に行った場合のシミュレーションについて詳しく解説します。

もしもFIREから社会復帰することになったら?

ほかにも、社会復帰の難しさも視野に入れたほうがいいでしょう。仮に40代でFIREという選択をするとして、そこでピタッと仕事を辞めてしまったとします。10年後に「わたくしアーリーリタイアしまして10年間のブランクがあるのですが、雇ってもらえませんか?」と活動したところで、そういう方を積極的に採用しようという先は極めて少ないでしょう。

 

多くの人は20代から社会に出て働きはじめますが、20代はノリや勢い、体力と反射神経をレバレッジに乗り切れます。30代は信頼関係や人脈を構築し、スキルや実績値を積み重ねていく時期。そして40代は、その人脈や信頼関係、スキルや経験といった、これまで構築してきたすべてのリソースをようやくアウトプットできる時期。

 

ここでキャリア断絶させるのは、社会復帰の難しさに直面するリスクと、大きな機会損失のリスクをとることでもあるのです。

 

それでもFIREに近いことを達成したいのであれば、きちんと社会とつながるという意味も含め、少しでいいので収入源となるものを持って完全リタイアをしない、というのがいいと思います。

 

ただ、これも「FIRE完全マニュアル」のような本や動画だとその枠組みから出ておらず、多くのFIRE族がみんなやることなので、テンプレート化されて飽和してしまうリスクがあります。好きなことで、時間をコントロールできる仕事を考えるようにするといいのではないでしょうか。

 

[図表3]パターン3:パターン2に加え、年間収入が100万円ある場合のシミュレーション
[図表3]パターン3:パターン2に加え、年間収入が100万円ある場合のシミュレーション 出典:『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)

 

パターン3は、パターン2のシミュレーションに年間100万円の収入が加わったケースです。これであれば、突発的な支出があっても元本を減らすことなく10年目を迎えることができています。結局のところ「不労所得を得て、楽して暮らしたい」という夢を、少しゆがんだ形で達成させようとしたのがFIREなのかな、と思います。

 

もちろん、不労所得自体は悪いことではありません。株や不動産などで金融資産を安定的に増やしていきつつ、働くことに関してはペースをコントロールし、自己実現に向かう余裕を持つ。これが、FIREがもたらす本質的な「余裕のある生活」ではないでしょうか。

 

 

田中 渓
投資家

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、田中渓氏の著書『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)より一部を抜粋・再編集したものです。

億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド

億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド

田中 渓

徳間書店

2008年に起きた世界規模の金融危機、いわゆるリーマンショックは、ゴールドマン・サックスに入社してまだ1年しかたっていない僕にとって足元が揺らぐほど信じがたい出来事でした。金融業界はもちろん、世界中の名だたる企業も…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録