前回は、多くの人に信じられているものの医学的な根拠はないと言う、薄毛にまつわる「迷信」についてお伝えをしました。今回は、育毛シャンプーは本当に効果があるのかを見てみます。

「髪にハリ、コシを与える」と謳うが・・・

薄毛を改善しようと決意した「薄毛難民」が、最初に試すのは「育毛剤」などではないでしょうか。こうした薬は個人差があるものの、予防・防止には一定の効果があるとされています。特に、連載の後半で詳しくご紹介する外用薬「ミノキシジル」などは高い効果を発揮する、信頼できる薬です。

 

一方、髪にいいとされる「育毛シャンプー」類もあります。「髪にハリ、コシを与える」などという謳い文句で宣伝される商品です。こうしたシャンプーやトリートメントを使うと、確かに「しっかり生えてきた」という実感があるかもしれません。しかし、これは既に生えている髪にコーティングが施され、しっかりしてきたように見えるだけのこと。その髪は、本当は既に死にかけている弱い髪かもしれません。つまり錯覚です。これが発毛・育毛シャンプーの正体です。

「シャンプーで薄毛を予防できる・治せる」は期待過剰

そもそも毛髪は頭皮の奥底から生え、分裂を繰り返して成長します。だからシャンプーなど外側から振りかかるだけのもので髪の生物学的性質が変わることはありません。畑仕事でいえば、やせた畑にいくら種をまいても、いい作物が育つはずがないのと同じことです。育毛シャンプーなどを使うことで多少、毛が太くなったり、現状維持ができたりする効果はあるかもしれませんが、薄毛自体が治るわけはないのです。

 

「2000円くらいのシャンプーを使う程度なら、自分でセルフケアできそうだ」。こうした気持ちを抱かせるところから、薄毛ビジネスの落とし穴は始まります。自分で納得し、気に入って使う分には問題ありませんが、それで薄毛を予防できる、治せるなどと過剰な期待を持つことはやめるべきです。

 

ちなみに「ヘッドスパ」なども育毛に効果があるとして人気です。確かにヘッドスパはリラックスできますし、気持ちがいいかもしれません。それは事実でしょう。しかしながら、発毛に効果があるとは言いがたいのです。

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『薄毛 「自毛主義」のすすめ』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

音田 正光

幻冬舎メディアコンサルティング

髪が抜けて少なくなる、頭頂部が薄くなる――これは男性にとって古今東西、永遠のテーマといえる苦しみであり、さらに昨今は女性にも薄毛の悩みを抱える人が増えています。 本書では、さまざまな治療法を試しては失望してきた…

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