対策と失敗を繰り返して「薄毛難民」に・・・
さて、実際、薄毛に気づいた場合、人はどうするでしょうか。もしかしたら最初は、どうすればいいかわからず、じっと悩み続けているかもしれません。その間に薄毛が進行していってしまうこともあるでしょう。いよいよ薄毛が深刻な状態になったとしたら、多くの人は何らかの対処をしようとするはずです。それは当然のことですが、その手段の中にも大きな落とし穴が潜んでいる場合があります。
薄毛に悩んだ挙げ句、状況を何とか打開しようと、さまざまな情報を集め、薄毛対策に乗り出したとします。ところが、手軽に見つけた情報やアイテムによって薄毛が夢のごとく、あっという間に改善することはまずあり得ません。簡単に薄毛の悩みを解消するのは、ほぼ不可能なのです。
その落とし穴の詳細はこれから詳しくお話ししていきますが、それにはまっている人は、実は少なくありません。薄毛の悩みを解決すべく、さまざまな対策に挑戦しながら効果を得られず、失望を抱えながらまた別の対策にすがりつく。それでもまた同じ失望を繰り返し……。そんなあまりにも辛いスパイラルに陥って、さまよい続ける人が非常に多いのです。いわば「薄毛難民」とも呼ぶべき人たちです。
こうした「薄毛難民」がまず惑わされるのが、薄毛にまつわる「迷信」です。その迷信が、まことしやかな“常識”として都市伝説のように広まっており、それに振り回されてしまう人が多いのは問題です。
エビデンス(医学的根拠)のないものがほとんど
たとえば、「毛深い人は薄毛になりやすい」「辛いものを食べすぎるとハゲる」「帽子をかぶるとハゲる」「シャンプーより石けんで洗うほうが薄毛には良い」などといった話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、これらはいずれもエビデンス(医学的根拠)がなく、ただの迷信に近い噂話に過ぎません。
また、「ストレスがあるとハゲる」ともいわれますが、これも科学的根拠はありません。
薄毛に限らず、ストレスが少ない生活を送ることは心身の健康上大切ですが、実際のところ、ほとんどの脱毛症とストレスに関係はないのです。
「昆布やのり、わかめなどの海藻類は髪にいい」というのも通説になっています。しかし、これも科学的根拠はありません。ただし、海藻類を含め、バランスの取れた食事を三食、心がけることはもちろん大切です。
「若ハゲは遺伝する」という説もよく聞きます。確かに薄毛は多因子遺伝と考えられていますが、その遺伝形式はまだはっきりと解明されていません。実際、父親が薄毛であっても、薄毛にならない人もいます。この薄毛と遺伝の関係については、連載の後半で詳しくご紹介しましょう。
このように世間に流布している“迷信”の全てを鵜呑みにせず、正しい情報を得ることが必要です。
さらに、迷信とまではいかずとも、テレビCMなどで謳われることに過度な期待をするのも考えものです。薄毛のコンプレックスにつけ込み、「これをやれば髪が生える!」と宣伝する製品やサービスがありますが、それが間違った情報や誇張した表現であることも少なくありません。それは、いわゆる“錯覚商法”であることが多いのです。