ビットコインが「金」の代替になることはない…そのワケ
エミン:あとは、なんといっても金ですね。そもそも金は実物資産ですから、価値がなくなることはありません。モノが値上がりするインフレ局面で上昇する傾向もある。
通貨や債券はペーパー資産で、発行体の信用が失われれば価値が大きく棄損(きそん)したり紙くずになったりする可能性もありますが、金はそれ自体に価値があるうえ、その価値は世界共通で認められています。
また、「有事の金」といわれるように、戦争や紛争で値上がりする傾向も強い。2024年の春に金価格が大きく値上がりしたのは、イランとイスラエルの対立が緊迫したことが大きく影響していると思います。
もちろん、それ以前からの上昇も、米中の関係が悪化し、経済覇権を争う新冷戦の状況下にあることが少なからず影響していると思いますよ。
木原:実物資産といっても、金はピカピカしてきれいなだけで、たいして役に立つものではありませんよね? 今はだれもが価値があると思っているから買われているだけで、そういう意味ではペーパー資産と変わらないし、ビットコインが金の代替になったとしても不思議じゃないと思うんです。
実際、ビットコイン価格が上昇しているのも同じ理由ですよね? 金を持ち運ぶのは大変だけど、ビットコインはどこにでも持っていけますから。
エミン:金にはビットコインと違って長い歴史がありますから、信用力がまるで違います。現に今は、新興国を中心に米ドルを基軸通貨とする現在の国際通貨制度への不信感が高まり、金を裏付けとする新しい通貨制度を模索していることから金が大きく買われているという見方もあるほどです。
この説の真偽はともかく、ここ数年で中国が米国債を手放して金を購入する動きが顕著であることは確かです。世界の中央銀行が2023年に購入した金の量は1,037トンですが、その2割以上を中国が占めています。
地政学的な緊張が高まる中でのインフレ局面では、金をポートフォリオに組み入れる価値は決して小さくないと思いますよ。
エミン・ユルマズ
エコノミスト、為替ストラテジスト
木原 直哉
プロポーカープレーヤー
※本記事は『「確率思考」で市場を制する最強の投資術』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。
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