税務調査は“赤字”の会社にも行われる
赤字だからといって、必ずしも業績が悪いとは限りません。帳簿上は赤字であっても、適正額をはるかに超えた給与額を設定していたり、多額の経費を計上することで赤字にしたりする会社も少なくないのです。
そのため、税務調査は黒字の法人だけに行くわけではありません。売上が順調に伸びているのに赤字になっている場合や、交際費や外注費などの金額が同業他社と比べて大きい場合など、申告内容に不審な点がある場合は調査に入られやすくなります。
「内部告発」が税務調査のきっかけになることも
今回、Aさんの会社に税務調査が入ったのは、従業員の「内部告発」がきっかけでした。
一生懸命働く従業員の待遇は考慮せず、実際にはほとんど出勤していない身内に対する給与が極端に高額であったために、従業員の不満がたまり、告発されてしまったのです。
国税庁の公式サイトには「課税・徴収漏れに関する情報の提供」というコーナーがあり、広く一般からの情報提供を呼びかけています。
内部告発が必ず税務調査につながるわけではありませんが、従業員という会社内部からの告発は信憑性があるため、情報提供が税務調査につながることもあります。
なお、この際、税務署には守秘義務があるため、調査を行った会社に対して「従業員からの告発があったため税務調査に伺いました」と伝えるようなことはもちろんありません。
「クリーンな経営」と「クリーンな税務申告」が自分と会社を守る
ワンマン経営の企業の場合、社長の個人的な考えに基づいて経費計上されているケースが実務上多く見受けられます。
今回のB社のように、税務調査によって経費が否認された場合、法人税のほか本来の納期限から遅れて支払ったことによる延滞税、少なく申告したことに対するペナルティとしての過少申告加算税が課せられます。
偽装や隠ぺいなど、悪質な脱税行為であると判断された場合は、過少申告加算税に替え重加算税という重いペナルティを課されることもあります。
適正な申告と納税だけでなく、経営者としては従業員のやる気を削ぐことのないよう、健全な経営を行うことが肝要です。
宮路 幸人
宮路幸人税理士事務所
税理士/CFP
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