(※写真はイメージです/PIXTA)

相続放棄とは、故人が残した財産や負債を一切受け継がない選択肢です。この制度を利用することで、多額の借金を相続せずに済む一方で、プラスの財産も放棄することになります。相続放棄を行うには、故人の死亡を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述し、認められる必要があります。ただし、放棄後も不動産の管理責任やトラブル防止のための注意点が伴います。本記事では、相続放棄のメリット・デメリットや手続きの流れ、家や財産に関する特有の課題について詳しく解説します。

家を相続放棄するとどうなる?

相続放棄した人は、次に相続人となった者が相続財産の管理を行なえるまで、自己の財産と同様に細心の注意を払って、その財産の管理を継続しなければなりません。

 

つまり、たとえ相続放棄が成立して、例えば固定資産税の支払い義務がなくなったとしても、他に相続人がいない場合、相続財産管理人が管理できるようになるまでは、その家の管理義務は残ります。

 

なぜなら、相続人が相続放棄したからといって相続財産を管理しないでいると、相続財産が滅失・毀損されるなどして債権者や近隣住民などに損害を与える可能性があるためです。

 

したがって、相続放棄したとしても、相続財産管理人が決まるまでは家の管理義務が完全になくなるわけではなく、その家を放置しておくわけにはいかないのです。

“相続人全員”が財産を相続放棄した場合はどうなる?

民法では、所有者のいない不動産は国庫に帰属するとしています。つまり、相続権利のある相続人全員が不動産の相続を放棄すると、その不動産は国に継承されることになります。

 

ただし、不動産を国庫に帰属させる手続きを行うには、弁護士や司法書士などを相続財産管理人に任命する申請を行い、申請が受理された後に、その不動産に相続人がいないことを法律的に確定させなければなりません。

 

相続財産管理人とは、相続財産の管理・精算手続きを行うために、家庭裁判所によって選任される人のことです。家庭裁判所に相続財産管理人選任の申し出を行い、選任された相続財産管理人に管理を引き継ぐことになります。

 

相続財産管理人が管理を行う前に家の管理義務を怠っていると、建物の倒壊や火事、不法占拠やゴミの不法投棄などのトラブルが生じる可能性があります。

 

こうしたトラブルが起これば損害を受けた債権者や近隣住民、自身が相続放棄したことで相続することになった次順位の相続人などから損害賠償を請求されるおそれがあります。

 

相続人全員が相続放棄し、その家が誰のものでもなくなる場合、相続財産管理人または行政が処分することになります。しかし、どちらの場合でも相続放棄した人がその費用を負担する必要が出てくる可能性があります。 

 

具体的には、相続財産管理人は自動的に選任されるわけではないので、家庭裁判所にその選任を申し立てる必要があります。しかし、そのためには20万円〜100万円程度の予納金を納めなければなりません。 

 

また、行政による強制的な処分でかかった費用も、たとえ相続放棄していても、家の管理義務を負うべき人に請求される可能性があります。この行政の処分によって請求される費用は、相場よりも高額になるケースが多いため、注意が必要です。

 

相続放棄するかどうかは、これらの費用を含めて検討する必要があります。

 

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