高校時代「一番を目指せ」といわれ東大合格の女生徒。胸弾ませ入学も…議論の輪に入れず、いつもニコニコその場にいるだけ。高学歴でも“考える力のない人”が「授業後に出る感想」

高校時代「一番を目指せ」といわれ東大合格の女生徒。胸弾ませ入学も…議論の輪に入れず、いつもニコニコその場にいるだけ。高学歴でも“考える力のない人”が「授業後に出る感想」
(※写真はイメージです/PIXTA)

学歴はあるが、考える力がなかった――そう語るのは、東大卒である早稲田大学教授の濱中淳子氏。自身の経験を赤裸々に語りながら、教育の本質、そして「考える力」の重要性を訴える。※本記事は、高宮敏郎氏の著書『「考える力」を育てるためにSAPIXが大切にしていること』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したもの。

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「私は、何も疑問に思うことがないまま育ってきたのでは」

髙宮

ところで、先ほどのお話の続きに戻って、もう少し濱中先生ご自身のことをお聞かせいただきたいと思います。

 

濱中

高校の先生方の熱心な指導などに恵まれて、とりあえず受験をクリアする力は、何とか高校3年生の2月までには身についたということだったのでしょう。無事に大学受験をパスし、地元を離れて4月から東大の駒場キャンパスに通い始めました。当初は新しい環境に心躍っていましたが、徐々に「勝負することができない場面」を幾度も経験することになります。


髙宮

「勝負できない」という実感があったのでしょうか。どのような経験を通じてそうお感じになられたのか、とても興味があります。

 

濱中

端的に言うと、周囲の議論についていけない。「これは別の形に言い換えが可能だよね」「この問題の本質はここだよね」といったレベルの会話が私の周りでいつも飛び交っていて、その議論の輪の中に入っていくことができない。だから、私はいつもニコニコ笑ってその場に座っている。そんな感じでした。

 

髙宮

クラスメイトとの話に溶け込めない、という感じですか?

 

濱中

溶け込めなかったわけではないんです。くだらない話もしましたし、普通に遊びにも行きました。楽しい時間もたくさん過ごしました。ただ、難しい話になると途端に口を開かなくなるだけです。東大では、3年生から専門の学部に進みます。そうなると、ますます「勝負にならない」自分を痛感するようになりました。特に少人数の授業では発言することができず、ニコニコして座っているだけの虚しい時間でした。

 

髙宮

自分の中に「答え」がないから、口を開けなかった。そんな感じですか? 何を言えばいいのか分からない、とでも言うのでしょうか。

 

濱中

そうです。「私は、何も疑問に思うことがないまま育ってきたのでは」と感じましたね。

 

髙宮

今風の言い方をすれば、クリティカル・シンキングを活用して、批判的に問いを立てることができなかったということですか?

 

濱中

今の社会の何が問題なのかさえも、きちんと分かっていませんでした。まさに先ほどの図表でいう「タイプ2」ですよね。授業などで交わされている議論を面白いと感じることはできるんです。面白いから、その場にいることは苦でも何でもない。聞きたいと思うからこそ、その場にいるわけですが、自分から何かのアクションを起こすことはありませんでした。

 

髙宮

周囲の議論に入っていって自分の意見を主張するわけではなく、議論自体を楽しむ。そのような学びになってしまっていたと。

 

濱中

「今日も勉強になったな」と思って帰るという感じでしょうか。ひたすら、受け身の構えで授業を受け続ける、みたいな。

 

髙宮

教育社会学の専門の授業が始まって、内容自体は面白いからノートも取って、「ああ、楽しかった。勉強になった。以上」ということですか?

 

濱中

そうですね。ただ私の場合は、幸運なことに大学院で学ぶ時間がありました。大学院では指導がさらに密になりますし、そのおかげで少しは「考える」ことができるようになったと思います。仮に大学院へ進学せず学部だけで終えていたら、「使えない人」で終わっていたかもしれません。

 

 

高宮 敏郎

SAPIX YOZEMI GROUP共同代表

 

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※本連載は、高宮敏郎氏の著書『「考える力」を育てるためにSAPIXが大切にしていること』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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