A夫婦の「家計破産」を救うには
A夫婦によると「購入したマイホームはできるだけ手放したくない」とのこと。そのため、現在のA家の家計で、新居を保持するために、次の3つの改善策を早急に実施するように提案しました。
1.現在の無駄な支出を見直す
2.副業や転職をして収入を増やす
3.返済をしている銀行に事情を話して、善後策を協議する
まずは、「家計収支の黒字化」が急務です。上記1と2は同時に行い、支出が収入に収まるようにします。
また、利息の支払額は増えますが、銀行に返済期間を延長してもらい、毎月の返済額を減らすというのもひとつの手です。
あるいは、2人の気持ちが変われば、銀行の合意を得て住宅の任意売却をしたり、賃貸住宅に引越していまの自宅を賃貸に出したりすることで、家賃収入を得ながらローンを返済していくといった方法もあります。
夫婦は「いまの状況が可視化され、具体的な対策がわかってよかったです。焦りとストレスから2人の仲も険悪になっていたのですが、2人でよく話し合って対策を考えてみます」と、幾分ほっとした表情でその日は帰っていかれました。
A夫婦の「妥当な住宅購入価格」とは?
筆者が考えるA夫婦の「妥当な住宅購入価格」は、およそ7,200万円です。
夫婦の返済額は、Bさんが1,000万円の頭金を負担したとして、6,200万円を夫婦の持ち分割合で返済すると、当初の毎月の返済額は、Aさんは13万9,900円、Bさんは4万5,500円、夫婦で18万円5,400円となり、現在より毎月7万7,800円返済額が減ります。この試算は、変動金利で6年ごとに125%ずつ※金利が上昇した時も考慮した計算です。
※ 変動金利で借り入れたときに、金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらないのが「5年ルール」。さらに、5年経過後の6年目からの毎月の返済額は、いままでの返済額の125%の金額までしか上げられないのが「125%ルール」。このルールはすべての金融機関で行われているわけではない。
また、住宅ローン控除が適用される新築の場合、13年間で、Aさんは270万円、Bさんは97万円それぞれ所得税が控除されます。
よって、A夫婦の給与と返済比率から妥当な住宅購入価格を試算した結果「7,200万円」となりました。
住宅は、いうまでもなく高価な買い物です。住宅ローンを組む場合には、たとえ「大丈夫!」という人がいても、その借入額が適正かどうかを慎重に見極め、生涯マイホームとともに生活していけることを自身で確認のうえ、購入を決断することが大切でしょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員
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