「お金がない」「家がない」「頼れる人がいない」…そういった事情とは別の理由でホームレス状態になっている、いわば〝ネオホームレス〞とも呼べる存在の若者が増えているといいます。本記事では、元芸人でYouTube登録者数24万人超えの青柳貴哉氏の著書『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA/2023年4月発売)より一部抜粋し、著者が新宿歌舞伎町のトー横界隈で出会った15歳の少女についてご紹介します。
虐待の事実も「父親からの愛情」
「実の父親から性的虐待を受けていたんです」
モカさんの実父は、母親に性的虐待を、モカさんに対しては殴る蹴るなどの暴力を振るっていたという。そんな生活が続いたあと、両親は離婚。父親に引き取られたモカさんは、これまでの殴る蹴るの暴行に加えて、性的虐待も受けるようになった。
父親からの性的虐待という過去を、取材しながらある程度は想定していたので、モカさんの告白した内容を僕は静かに受け止めた。だが、僕にとって衝撃的だったのは、彼女が辛そうな様子をほぼ見せなかったことだ。
「普通ではないと思ってたけど、これがお父さんから私への本当の愛情なんだなと思った」
モカさんは、まるで父親と遊園地に行った記憶を思い出すかのように、軽やかな表情でそう語った。幼少期から殴る蹴るなどの虐待を受けて育った彼女にとって、唯一父親が〝優しく〞接してくれた時間だったのではないだろうか。だからこそ、客観的に見れば性的虐待でしかない出来事が、彼女にとって〝父親との楽しかった思い出〞に変換されている。
そんなふうに思考を巡らせると同時に、僕は心の底から違和感を覚えずにはいられなかった。父親からの性的虐待について話すモカさんの顔には、中学生らしいあどけない表情が浮かんでいたからだ。
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1981年生まれ、福岡県出身。お笑いコンビ「ギチ」として、2017 年まで吉本興業に所属。現在はYouTubeにて、ホームレスの実態に迫るドキュメント番組「アットホームチャンネル」を運営。
これまで延べ100名以上のホームレスを取材。お笑い芸人の仕事で培った話術や構成スキルを駆使し、取材対象者のリアルな本音やストーリー性のある動画が高い評価を受けている。
チャンネル開設後4年で、登録者数は24万人(2024年12月現在)を突破。
YouTube:アットホームチャンネル
X:@AoyagiTakaya
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連載Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち