《少子化時代の学校》団塊ジュニア世代からの落差…過去20年間で減った「小学校の数」に衝撃【SAPIX代表が警鐘】

《少子化時代の学校》団塊ジュニア世代からの落差…過去20年間で減った「小学校の数」に衝撃【SAPIX代表が警鐘】

団塊ジュニア世代として200万人以上の出生数を経験した筆者が、少子化の現状と教育現場への影響を分析する。新型コロナウイルス感染症の流行が少子化に拍車をかけ、出生数は急減。学校の数も減少し、学校体系の維持に深刻な課題を突き付けている。本記事では、高宮敏郎氏の著書『「考える力」を育てるためにSAPIXが大切にしていること』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集し、少子化時代における今後の教育を支える鍵について解説する。

都市部でも地方でも減り続ける学校

少子化を実感していただくために、クイズを出題します。全国の鉄道の駅数に一番近いのは、次のうちどれでしょうか。

 

1.小学校(約2万校)
2.中学校(約1万校)
3.高等学校(約5000校)

 

鉄道の駅は、約9055駅(同一住所の駅を一駅とカウントした場合。2023年3月時点)。つまり、答えは「2.中学校」です。地域によって一駅間の距離は違いますが、駅数と同じくらいの学校数があるということは、押しなべていうと、中学校は一駅に一校あるということです。

 

さて、次の問題です。小学校は、この20年間でどれだけ減ったでしょうか。

 

1.約50校

2.約500校

3.約5000校

 

これはなかなか難しい問題です。50校では少なすぎるし、5000校はさすがに多すぎる気がします。間を取って「500校かな」と考えたくなりますよね。しかし、正解は「3.約5000校」なのです。小学校はこの20年間で約5000校、1年で約250校ずつなくなっています。20年前に比べると、約2割減です。これは、地方に限った話ではなく、都市部でも学校の数は減り続けているのです。さらに、中学校も高校も約1割ずつ減っています。

 

先ほどの理屈で言うと、子どもは減る一方です。通学には移動距離という物理的制約がある。中学生なら、やはり一駅分ぐらいが限界です。そうしたことを考えると、このまま子どもの数が減っていくと、今の学校の体系が維持できるのかという疑問が湧いてきます。

 

この問題に対する方策は三つ考えられます。

 

1.コンパクトシティ化

2.教員の増員

3.ITによる教育サービスの補完

 

これらの方策には、政治的な要素が大きく絡んできます。

 

まず「1.コンパクトシティ化」についてです。コンパクトシティ化とは、都市部に行政、教育、医療、交通のサービスを集約させて、都市機能の効率化を目指すアイデアです。仮にコンパクトシティ化を採用するとしたら、過疎の地域の子どもたちを都心部に移動させるという話になるでしょう。そうなると、都道府県庁のある一区選出の議員はまだしも、一区以外の選出の議員たちは絶対にこれには承服できません。なぜなら、将来の有権者である子どもたちを手放さなければいけなくなるからです。

 

次に、「2.教員の増員」についてです。どんなに子どもの数が少なくても、子どもがいる限り、そこには教員をきちんと置こうという考え方があります。しかし、現時点ですでに教員が不足しているうえ、財政問題も山積みなのに、さらにお金を割けるのか?ということになります。

 

そうすると、消去法として「3.ITによる教育サービスの補完」するしかないという結論になるのです。

 

 

高宮 敏郎
SAPIX YOZEMI GROUP共同代表

 

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※本連載は、高宮 敏郎氏の著書『「考える力」を育てるためにSAPIXが大切にしていること』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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高宮 敏郎

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