専業主婦が抱えた老後の不安
美智子さん(仮名/59歳)は35年間、国家公務員として働く夫・浩一さん(仮名/65歳)を支え続けてきました。浩一さんは定年退職後、嘱託職員として働いていますが、年金の受給が始まり、夫婦ともに老後を見据える時期を迎えました。浩一さんの年金は月額15万円、美智子さんの年金は月額6万円。さらに、浩一さんは退職金として1,200万円を受け取っており、表面的には「安泰」に見えます。
しかし、美智子さんは次第に老後の生活に不安を抱くようになります。「夫婦の年金だけでは、普通の生活を維持するのも厳しいのでは?」と、具体的に生活費を計算し始めました。その結果、以下の問題が浮かび上がります。
・基本的な生活費:月25万円
・ゆとりのある老後生活費:月36万円
・収入の合計:月21万円(夫15万円+妻6万円)
「毎月最低でも4万円の赤字。退職金を取り崩して生活するしかない。でも、夫は自分の趣味や旅行を優先してお金を使いたいみたいで、私の意見は聞いてくれないんです」。美智子さんの中で、「このままでは安心して暮らせない」という気持ちが強まっていきました。
「離婚」という選択が生んだ経済的な安定
美智子さんはある日、年金分割や財産分与について調べ始めます。そして、自分が離婚後にどのような生活を送れるのか具体的にシミュレーションしました。
【離婚後の美智子さんの収支シミュレーション】
収入
・年金:年金分割により月6万円から月10万円に増加(夫の厚生年金の一部を受け取る)
・パート収入:月5万円(週3日程度の勤務を想定)
支出
・住居費:月5万円(賃貸マンションを想定)
・食費/光熱費など:月8万円
・医療費/その他:月2万円