氷河期世代会社員の嘆き「試練が多すぎます」
地方の中小企業で働く佐藤俊哉さん(仮名・46歳)は、まさに氷河期ど真ん中世代。大学卒業時にはなんとか就職先を見つけたものの、不本意な就職だったといいます。
「100社以上受けて内容は1社だけ。まったく興味のない営業でした。でも、あそこまで落ちると、どこでもいいから入れてくれっていう気分になるんですよね。卒業した後に行く先が出来て心底ほっとしたのを覚えています」
しかし、入社すると長時間残業と過剰なノルマを強いられるブラック企業だったといいます。結局、1年後に退職。その後は2年ほどアルバイトで食いつなぎ、再び就職活動の末、事務系の仕事に就いたのだとか。
「給料は安かったですよ。当時、手取りで16~17万円だったかな。でも雇ってもらえるだけありがたいと思って働きました。そこからまた転職して30歳での会社に入ったんです。転職するときは前職の年収をベースに給料が決められて、やっぱり安いんですよ。本当はそこからもう一度転職したかったけど、リーマンショックがあったので機会を逃しました。毎年ちょっとずつ給料が上がって、ようやくこの給料になったんです」
佐藤さんの現在の年収は380万円。妻と小学生の子どもの4人家族で、世帯年収は650万円程度です。
「妻も同世代で、正社員ですが年収は200万円台です。子どもの将来のためにお金を貯めなければならないし、生活は質素なものです。でも私の世代は無職や非正規も多くて未婚率も高いっていうじゃないですか。私たちは夫婦で支え合えばなんとか暮らせるので、それよりマシかと思っていたんですが……」
しかし、75歳になる妻の父親が自宅で倒れたことで状況が一変しました。脳梗塞により介護が必要な状態になったのです。さらに、そこから認知症の症状も出てきているという状況です。
高齢の母だけで面倒を見るのは厳しく、老人ホームにいれようにも妻の親にはそんな貯金は残っていないことが判明しました。妻は自分の親だから面倒を見たいと言いますが、妻の収入が減れば、子どもの教育費の準備にも大きな影響が出ます。2人分の年収があってこそ成り立つ生活です。
佐藤さんは、自分たちの暮らしで精いっぱいで、自分や妻の父・母が亡くなったときのことは考えても、介護の可能性を真剣に考えられていなかったのだといいます。
「当面、妻の母が介護サービスを使ってなんとかしていますが、長くはムリでしょう。どうしたらいいのか。前向きに考えようとしていたけれど、こうやって追いつめられると恨めしくなりますね。思うように就職できなくて、頑張っても給料は上がらず、貯金も満足にできなかった。貧乏くじを引いた世代じゃないですか。そうじゃなければ介護の費用悩むことなんてなかったかもしれない……。いや試練が多すぎてしんどいです」
氷河期世代の親は70~80代と介護の可能性が高くなる年齢に突入しています。佐藤さんのように、子育てと介護が重なり苦しむケースが増えていく可能性も高くなっていくでしょう。もし非正規雇用などで年収が少なければ、一層厳しい事態に追い込まれることが予想されます。少なくとも、親が亡くなったときの話だけでなく介護状態になったらどうするのかを家族で話し合っておくことが大切でしょう。
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
