(※写真はイメージです/PIXTA)

退職金を手にした65歳の夫婦が、長年の夢だった2拠点暮らしへ。出会った物件を即決購入するも、予想外の維持費など困難な状況に直面し、老後の資金が急速に目減りしていきます。夢を追いかけたはずが、なぜ老後破産の危機に陥ったのでしょうか。本記事では、坂田さん(仮名)夫妻の事例とともに、セカンドハウス購入の落とし穴と、老後の資金計画の重要性について、合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。

「海外のリゾートヴィラ風」に一目惚れ

坂田博さん(仮名/65歳)と妻の葉子さん(仮名/63歳)は、大手食品メーカーに同期入社をして社内結婚をしました。博さんは営業畑で転勤も多いため、結婚後の転勤辞令が出たタイミングで葉子さんは退職しました。

 

一人娘(現在35歳)を授かるまでは、趣味の海外旅行を楽しみ、特にハワイのリゾートには毎年、足を運んだものです。葉子さんがゴルフデビューをしたのもハワイでした。早朝や薄暮のゴルフ場は人も少なく、下手でも気にすることなくプレイを楽しめたものです。

 

子供が私立中学に進学するタイミングで、博さんは単身赴任を受け入れ、60歳の定年までほぼ同居する期間はありませんでした。定年後は、自宅通勤できるエリアを条件に継続雇用にしてもらいました。そして、65歳前に一人娘は無事に独立して結婚、住宅ローンなどの返済も完了しました。まさに、夫婦で楽しむセカンドライフのスタートに向けて、長年温めてきた2拠点暮らしの夢を実現させようと考えていました。

 

坂田さんの状況は以下のとおり、悠々自適の老後を描くには十分でしょう。

 

・年金収入(夫婦合計):月18万6,000円、2026年(妻65歳)から月25万円

・退職金:5,000万円

 

ある日、ネットで電鉄系リゾートの広告を目にした坂田さん夫妻。リゾート内には、かつて会社の保養所として利用したことがあるホテルタイプの施設もあり、懐かしさと憧れが一気に湧き上がりました。まるで、若き日に訪れて楽しんだハワイのリゾートヴィラのような物件に一目惚れ。内覧するとピクチャーウィンドウからは南アルプスの眺望も楽しめ、夫婦の嗜好にもピッタリです。物件の詳細は以下のとおりです。

 

・築32年、2LDK・約80m2

・価格:1,100万円

・一時金:約150万円(税金、仲介手数料、預り金、名義変更料など)

・年間維持費:約60万円(管理費、修繕積立金、借地料など)

 

「これだけの金額でセカンドハウスが持てるなら問題ないな」と、来年誕生予定の孫と一緒に3世代で楽しんでいる姿を妄想しつつ、購入を決断しました。

 

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