換気口の裏に隠されていた「タンス預金5,000万円」
「まったく身に覚えがないな……うおっ、重たい!」
Aさんがカバンを開けたところ、なんとそのなかには現金5,000万円が入っていました。
「うおおお! ええっ!? か、母さんちょっと来て!」
呼ばれたBさんは、見たことのないほど興奮する息子に驚きながら、次のように言いました。「なになに、どうしたの……あら、このカバンは父さんが若いときに使っていたやつだね」
亡くなった父親は、いつのまにか銀行から預金を引き出し、長年こっそり「タンス預金」を蓄えていたようです。
「これで浴室だけじゃなく、家を丸ごとリフォームできるかもな! いやあ、いままでしんどいことばっかりだったけれど、これで人生、一発逆転だ!」
興奮した様子で使い道を考えるAさんを横目に、Bさんは心配した表情で言いました。「でもこれ、きちんと報告しなくちゃね。あとでなんやかんや言われるのは嫌だから……」
しかし、Aさんは強気です。「なあに、大丈夫だよ。『銀行に入れずに、現金でもっていればバレない』ってネットで見たし。家族の俺たちすらいままで知らなかったお金なんだぜ? 誰にバレるっていうんだよ!」
Aさんの自信満々な様子にBさんは太刀打ちできず、渋々、子の言うとおりにすることに。もっとも、「大きな買い物をすると怪しまれる」と考えたAさんとBさんは、生活費を中心に現金を少しずつ使っていました。
それから約1年が経ったある日のこと。Aさんのもとに、税務署から1本の電話が入ります。
税務署職員「お父さまの相続税に関する調査のために、ご自宅に伺いたいのですが」
Aさんは(まさかバレたのか!? いやいや、そんなはずはない。銀行に預けていないしそもそもお金自体そんなに使っていないんだからバレようがないだろ……くそっ、断りたいけど怪しまれるかな……)と、内心うろたえながら渋々調査を受けることにしました。
そして税務調査当日。2名の調査官がAさんとBさんの暮らす実家にやってきたのです。