(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する。

●2025年に投票権を持つ理事と地区連銀総裁の計12名のうちハト派4名、タカ派3名、中立5名。

●ドットチャートは19名の予想、中立10名のうちタカ派寄り6名の予想が次回のドットに大きく影響か。

金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する

米国の連邦準備制度(The Federal Reserve System)は、1913年の連邦準備法によって設立された中央銀行制度です。その最高意思決定機関が、ワシントンにある連邦準備制度理事会(The Board ofGovernors of the Federal Reserve System) で、一般的にFRB ( The Federal ReserveBoard)という略称で呼ばれています。FRBは連邦政府の1機関であり、7名の理事(うち議長1名、副議長1名、金融監督担当副議長1名)で構成されています。

 

FRBは、その下に12の地区連邦準備銀行(地区連銀)を抱え、業務に関する広範な監督権限を付与されています。なお、金融政策の決定に関する議論は、連邦公開市場委員会(FOMC)で行われ、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を持ちます。理事とニューヨーク地区連銀総裁は、常に投票権を持つ常任メンバーですが、4名の地区連銀総裁は、輪番制により1年の任期となります。

2025年に投票権を持つ理事と地区連銀総裁の計12名のうちハト派4名、タカ派3名、中立5名

つまり、投票権を持つ5名の地区連銀総裁のうち、ニューヨーク地区連銀総裁を除いて、4名が毎年入れ替わることになります。次期トランプ政権1年目となる2025年は、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティーの各地区連銀総裁が新たに投票権を持つメンバーとなります。なお、2025年のFOMCで投票権を持つメンバーの金融政策スタンスについて、ハト派(景気重視)、中立、タカ派(物価重視)の3つに区分したものが図表1です。

 

[図表1]FOMCメンバーの金融政策スタンス

 

弊社は7名の理事のうち、ジェファーソン副議長、クック理事、クグラー理事の3名はハト派、ボウマン理事はタカ派、パウエル議長など残り3名は中立とみています。また、5名の地区連銀総裁では、シカゴ地区連銀のグールズビー総裁がハト派、セントルイス地区連銀のムサレム総裁とカンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁がタカ派、ニューヨーク地区連銀のウィリアムズ総裁とボストン地区連銀のコリンズ総裁が中立と考えます。

ドットチャートは19名の予想、中立10名のうちタカ派寄り6名の予想が次回のドットに大きく影響か

2024年に投票権を持つメンバーは、ハト派が3名、タカ派が2名、中立が7名とみていますので、2025年は中立が2名減り、ハト派とタカ派が1名ずつ増えることになりますが、引き続きバランスの取れた陣容と判断されます。なお、金融政策は投票権を持つメンバー12名の投票で決まりますが、FOMCメンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」は19名全員(理事7名と地区連銀総裁12名)によるものです。

 

参考までに、他の地区連銀総裁のスタンスは図表2の通りで、19名ではハト派4名、タカ派5名、中立10名となります。弊社は中立10名のうち、パウエル議長、バー金融監督担当副議長、ニューヨーク地区連銀ウィリアムズ総裁、サンフランシスコ地区連銀デイリー総裁の4名はハト派寄り、6名はタカ派寄りとみており、後者の予想は次回ドットチャート(12月18日発表)中央値の上方修正に大きく影響する可能性が高いと思われます。

 

[図表2]その他FOMCメンバーの金融政策スタンス

 

(2024年12月9日)

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「2025年FOMCメンバー」の金融政策スタンス【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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