今回は、「収益性の低い木造アパート」の売却に苦労した事例を見ていきます。本連載は、不動産投資コンサルタントである桜木大洋氏の著書、『自己資金0円からはじめる不動産投資』(青月社)の中から一部を抜粋し、自己資金ゼロからアパートを取得した経緯から、資産8億円を得るまでに至った不動産投資の成功事例をお伝えします。

木造アパートの「新築プレミアム」効果は数年で消失

収益を生み出す2つの大きなRC物件を取得した後、次なる課題はお金がほとんど残らない木造物件の売却です。

 

どちらの物件も単身用の1Kですから、数年経つと空室も出ます。

 

特に千葉市・蘇我のアパートは、購入時には「これからこの街は開発が進み、賃貸需要もどんどん上がってきます」と説明を受けていました。たしかにその通りに活況を呈してきてはいるのですが、その分、似たようなデザイナーズアパートが乱立するようにもなってきました。

 

そうなると、新築で私のアパートよりも設備が整っているにも関わらず、家賃が5000円以上安く、時には1万円も差がついてしまうケースさえありました。

 

こういう状況では、私のアパートから一旦退去者が出ると、次に募集する時には大幅に家賃を下げざるを得ません。

 

また、入居月の家賃を無料にするフリーレントや、5万円相当の初期費用を無料にしなければ、入居が決まらなくなってきました。

 

こうなっては、キャッシュフローの年間80万円はあっという間に吹き飛び、プラスマイナス0か、ちょっと油断するとマイナス数十万円になってしまいます。

 

新築プレミアムの効果はほんの数年で無くなり、賃貸経営としては非常に危ないレベルになっていったのです。

低い「指し値」が入り、売却価格はどんどん下落

4棟目の仲介をしてくれた販売会社に相談すると、「うちに任せてくれればすぐに売れますよ」と言ってくれました。

 

ところが、実際に委託してみると、なかなか決まりません。たまに買いが入っても、指し値が入ります。指し値とは値引き要求のことですが、どんどん値段が下がります。

 

それでもなんとか2ヶ月程度で決着。5300万円で購入したものを4900万円で売却しました。当時の残債が4750万円程度でしたので、決済後には150万円が手元に残った程度でした。

 

これでもまだ良い方で、博多の物件は実際に売却できるまで10ヶ月もかかりました。希望価格よりも500万円値下げをし、5400万円で決着。買った当時は5300万円でしたが、まだ2年しか経っていないため返済元金がほとんど減っておらず、初期費用にかけた金額を合わせるとマイナスになりました。

 

2つのアパートを合わせた収支は、55万円。5年間も木造アパートを所有して、得られた利益はたったの55万円、という結果で終わりました。

 

でもこれでようやく、晴れて強力なRCマンション2棟に経営のパワーを集中できるようになりました。

本連載は、2016年2月8日刊行の書籍『自己資金0円からはじめる不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

自己資金0円からはじめる 不動産投資

自己資金0円からはじめる 不動産投資

桜木 大洋

青月社

普通のサラリーマンから“自己資金0円"で資産8億円、家賃年収7500万円を稼ぐ著者の「物件の選び方」「数字の読み方」「融資交渉の秘訣」「行動の原則」など、サラリーマン「だから」できる不動産投資の真髄がすべて書かれてい…

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