不動産サイトで見つけた条件にぴったりの物件
私の当時の目標であった「年間キャッシュフロー1500万円」を実現するには、まだあともう1棟、2〜3億円の物件を取得する必要がありました。
これまでお世話になった不動産会社に次々とコンタクトをとり、さらなる物件の紹介をお願いしてみましたが、一度借り換えをした人は、元の銀行から再融資を受けることは極めて困難になります。そうなると不動産会社でも紹介ができなくなります。
そこで私は、塾のツテではなく、自分で物件を探すことをようやく始めました。インターネットサイトの「楽待」に会員登録し、自分が求める物件を登録します。
・希望エリア……千葉県
・物件種別………1棟マンション
・構造……………RC造
・築年数…………25年以内
・利回り…………8%以上
関東圏内で利回りを10%以上と条件入力すると、1件も見つかりません。
8%でも、金利が1.2%なら有利なキャッシュフローを生むので、その辺りを狙って毎日サイトを確認する日々が続きました。
そして2ヶ月くらい経過したある日、突然、素晴らしい物件情報がパソコン上に表示されました。私の住む浦安市内で、1K×57戸の大型RC。築22年で利回りはなんと10.55%。ただし価格が4億1000万円となっていて、この規模はさすがに無理だろうと思っていました。
ところが地銀に情報を提供すると、何と偶然にも数ヶ月前に物件の評価をしたばかりで、私でもギリギリ融資が可能という、信じられない答えが返ってきました。
もしもこの物件が入手でき、金利が1.2%であったなら、年間キャッシュフローは単独で1400万円になります。
ところが、思いがけない落とし穴がありました。この物件は、現オーナーが1階の駐車場スペースを改築し、食品加工の工場として大々的に使用していたのです。
駐車場であるべき場所に人が作業できる空間があるということで、建築基準法に照らすと容積率オーバーになります。このままではこの物件は、通常の銀行の融資対象になり難いため、売却時には「1Fは現オーナーの責任と負担で建築当時の駐車場に戻します」という記載が、広告にしっかりと記載されていました。
ところが実際に契約の話を進めようとした時、売主側から「駐車場への原状回復は買主負担」と言ってきたのです。これは明らかにルール違反です。
売主側の不動産コンサルタントに引き伸ばされた交渉
実はこの売主側は、不動産コンサルタントという肩書きを持つ会社が陣頭指揮を取っていました。「嫌なら買わなくて結講。物件を持っている方が強いんだから、協議の必要もありません」
これにはもう、こちらの仲介会社さんもカンカンです。交渉の場で「そんなおかしな話があるか!」と大声で怒鳴ったりして大騒ぎでしたが、コンサル屋は眉の動きひとつ変えず、「話し合うつもりはない、嫌ならあきらめてくれ」の一点張り。
コンサル屋は、自分で買主を見つけてくれば、売主側と買主側の両方から仲介手数料が入ります。手数料は片方だけで1236万円。両方からなら2472万円となります。でも、今回私に売ることが決まると、仲介手数料は半分になります。だから自分で買主を見つけるまで時間稼ぎをしている様子でした。支店長が直接掛けあっても、難癖をつけて引き延ばされました。
およそ1ヶ月たった頃、その物件はそのコンサル屋が見つけてきた買主に売られてしまいました。逃がした獲物は大きいと、悔やんでも悔やみきれない思いでした。
しかし、そんな私に対し、お世話になった仲介会社の方からは、「もっと良い物件を紹介して、この物件をやめてよかったと言わせてみせます!」と言っていただきました。
また、銀行の支店長以下4名の行員さんは、閉店後の夜9時すぎまで私と打ち合せをして、「私たちは最後まで桜木さんの味方です。必ず物件取得しましょう」と力強い言葉をかけてくださいました。理不尽な仕打ちを感じたのは私だけではなかったということが、まるでチームのような連帯感を生み出しました。失った代わりに得たものも大きかったように思います。これが私への大きな追い風になりました。