(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査の対象となるのは、個人より法人のケースが多いため、「個人事業主であれば安心」だと思っている人もいるかもしれません。しかし税務調査の対象はランダムに選出されているわけではなく、きちんと理由があって選ばれている、と税理士法人松本の代表税理士、松本崇宏氏は言います。今回、個人事業主で税務調査のターゲットとなりやすい人の特徴や、税務調査を回避するためのポイントについて、松本氏が詳しく解説します。

税務調査が入りやすい個人事業主の特徴

では、どのような特徴がある個人事業主だと税務調査の対象になるのでしょうか。

 

税務調査が入りやすい個人事業主の特徴を9つまとめました。

 

  • 確定申告をしていない個人事業主
  • 申告漏れが多い業種の個人事業主
  • 盛り上がりのある業種の個人事業主
  • 経理に不審な点がある個人事業主
  • 現金の取り扱いが多い個人事業主
  • 開業して3年以上で売上が好調な個人事業主
  • 顧問税理士が付いていない個人事業主
  • 医療控除と売上が共に大きい個人事業主
  • 海外との取引がある個人事業主

 

確定申告をしていない個人事業主

確定申告をしていない、無申告の状態で営業を続けている個人事業主は、税務調査の対象になりやすいです。税務署に対して所得や納税額を申告していない状態となりますので、不審に思われても不思議ではありません。

 

「自分が確定申告をしなければ収入はバレない」と思うかもしれませんが、取引先の税務申告や税務調査によって、個人事業主の売上が想定できてしまいます。無申告だと脱税をしている状態になってしまいますので、必ず確定申告を行いましょう。

 

申告漏れが多い業種の個人事業主

国税庁が公開しているデータには、申告漏れ所得金額が高額な上位10業種というものがあります。

 

申告漏れが多い業種は把握されており、上位10位は以下のようになっています。

 

1位 キャバクラ
2位 風俗業
3位 不動産代理仲介
4位 システムエンジニア
5位 機械器具、部品修理
6位 焼肉
7位 冷暖房設備工事
8位 人材派遣
9位 バー
10位 ダンプ運送


参照:国税庁|事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

 

このようなデータがあるため、申告漏れの可能性が高い業種を絞って税務調査が行われます。上記のような業種であれば、申告漏れを疑われやすいと認識しておいたほうがいいかもしれません。

 

盛り上がりのある業種の個人事業主

「IT業界が繁栄してきた」「シェアリングサービスが業績を伸ばしてきた」というように、時代の流れとともに盛り上がりのある業種も変化していきます。

 

経済活動が活発になっている新業界に対し、税務署としても調査が必要となるため、積極的な税務調査が行われる場合があります。例えば令和3年度では、アフィリエイトなどのネット広告を行う個人事業主に積極的に税務調査が行われました。

 

今後はユーチューバーやインフルエンサーといったSNSで高い発信力を持つ人達も、税務調査の対象となっていくと予測できるでしょう。

 

経理に不審な点がある個人事業主

税務署はプロなので、経理に不審な数字があれば気付かれてしまいます。

 

「事業に無関係な経費が計上されている」という場合だけでなく、逆に「経費がまったく計上されていない」というのも不審な点とされます。このような状態でもきちんとした理由があれば問題ありませんので、説明できるようにしておきましょう。

 

取引先の支払調書を見れば正しい数字がすぐに見破られてしまいますので、不正はしないようにしましょう。

 

現金の取り扱いが多い個人事業主

取引先やお客様と現金でお金のやり取りをしている現金商売の業種も、税務調査が入りやすい業種であるといえます。例えば、飲食店や美容室といった小売店が挙げられます。

 

現金管理だと帳簿操作がしやすいため、脱税の証拠が残りにくくなります。細かなレシートや伝票などの証拠が必要になるかもしれませんが、現金商売が適正に処理されているとわかると調査員に対して好印象を残せるでしょう。

 

開業して3年以上で売上が好調な個人事業主

開業して3年目は、事業の売上が伸びやすい時期です。さらに確定申告にも慣れてきて油断やミスが出やすい、消費税が課税されるタイミングであるなどの理由が考えられます。

 

税務調査の目的は追徴課税なので、売上が好調な個人事業主のほうが税務調査の対象になりやすいと考えられます。

顧問税理士が付いていない個人事業主

確定申告の際に顧問税理士が申告書を作成しているか、個人事業主が自身で作成しているかという点も関係しています。顧問税理士が作成した申告書のほうが、単純なミスが少なく、故意な所得隠しがないだろうと予測できるからです。

 

そのため顧問税理士が付いていない、自分で確定申告書を作成している個人事業主のほうが税務調査の対象になりやすいといえます。

 

医療控除と売上がともに大きい個人事業主

医療費控除とは、1年間で高額の医療費を支払った場合に、超過支払い分の医療費が課税対象となる制度です。

 

高額な医療費を支払ったという場合は、事業主が大きな怪我や病気をしたと予測できる状態なので、売上も大きいと虚偽申告が疑われます。

 

「入院しながらパソコンで仕事をしていた」「怪我をしていたけど通院で仕事はできた」という状況かもしれませんので、100%虚偽とは言い切れません。

 

ただし不審な点として税務調査の対象になりやすい状態であるといえるので、きちんと説明できるようにしておきましょう。

 

海外との取引がある個人事業主

インターネット環境が整った状態で経済のグローバル化が進んでいますので、海外との取引を行っているという個人事業主の方もいるでしょう。

 

海外取引は、源泉所得税や消費税の取扱いなどにミスが発生しやすいため税務調査の対象になる場合があります。

 

 「海外投資をしている」「海外資産を保有している」という方は、申告漏れがないよう注意しましょう。

次ページ個人事業主が税務調査に入られないための対策

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録