莫大な道路情報の取得と、個人の嗜好性の分析が可能に
ここまでで言いたいことはお分かりかと思いますが、ポケモンGOで世界中のプレイヤーが歩いてポケモンを探し、ARで現れたポケモンを捕獲、撮影したデータは、この三次元地図の作製に役立っているはずなのです。
もちろん、ポケモンGOは時速10キロメートル以上の速さで動いてしまうと移動距離にカウントされないため、歩行者か自転車でゆっくり走る程度でしかプレイできません。ですが、それだからこそ微細な地図情報が手に入りますし、生活道路としてよく使われている道なのかどうかが分かります。
また、プレイはできなくても、自動車に乗っている間も、アプリを起動し続けていれば運転情報も送ってくれるのです。自動運転では歩行者の情報も当然必要なので、これには莫大なデータをもたらします。
また、最近は個人のGPS情報が使われるのを嫌ってGPSをオフにしている人が増えていますが、ポケモンGOをプレイしたい人はGPSをオンに切り替えます。
また、ポケモンGOをプレイすることで、個人の嗜好性や行動パターンは既に分析されて、およそどういった個人なのかは割り出されてしまっているわけですから、そこから車の保有状況も伺えます。
アメリカでは1億ダウンロードでデイリーアクセスが2000万人いて、アメリカの人口は約3億2000万人弱ですから、ざっくりと計算して、自動車保有者の1割ほどのGPS情報は手に入るでしょう。1割の車の移動情報が分かるというのは相当な情報量です。
さらに重要なのは、ポケモンGOを通じて、今までは分からなかったアップルのiPhoneやタブレットの端末利用者、つまりiOSのGPS情報も取れるようになったことです。これまで手が出せなかったところの情報も入るわけですから、これもかなり大きいと思います。
最終目標は「自動運転ソフトウェア」の開発か?
将来的には、グーグル車載OSで動く自動運転のソフトウェアが、カーナビのように車に搭載されるといったイメージなのかと思います。
そしてグーグルの自動運転システムが自動運転車のプラットフォームになり、そこで提供されるソフトウェアがデファクトになって、すべての自動運転車に搭載されるようになる。そういった戦略を描いているのだと思います。
地図情報というのは軍事戦略上いつでも極秘情報扱いされるものです。グーグルの自動運転車の世界戦略の上では、ポケモンGOは地図情報という、グーグルが地政学的な勝利を得るために重要な意味を持つものなのです。