「競争相手」の調査
地域の潜在患者数は簡単に調べられる時代になりましたが、私がマーケットを考えるうえでいちばん大事にしているのは、何より「コンペティター」、すなわち競争相手の存在です。私は今までエリアの選定と同時に、コンペティターの存在も徹底分析してきました。そして、コンペティターを分析する前にまずやるべきことは、自己分析です。自分を客観視することは難しいことですが、自分の長所や短所について一度考えてみることは重要です。
私が今までやってきたコンペティター分析の方法は、コンペティタークリニックの出入口付近で待ち伏せする方法です。嘘のような話ですが、私は実際に待ち伏せをして、「僕は鼻炎持ちなのですが、ここの先生の診察はどうでしたか?」と聞き込みをしました。自分だけではなく、法人の仲間や友達、家族に聞き込みをしてもらう、あるいは一度コンペティタークリニックに受診してもらうのも良い分析の材料となります。
現代ではスマホで簡単になんでも調べられますが、自分の足を動かして、自分の目で見た情報に勝るものはありません。インターネットの情報や口コミには本物と偽物が存在します。インターネットで悪い口コミが書かれている医師が本当に良くないのか、実際に会ったこともないのに分かるはずがありません。
自分の足を動かして情報を収集するついでに、開業予定地周辺を歩いてみるのも良い調査になります。データだけでは見えてこない情報がそこにはあります。例えば、データでは住民が多いのに、平日はほとんどが仕事に出ていて、そのエリアに残っている人が少なかったり、駅の南側は栄えているのに、北側にはあまり人が来なかったりというような、人の流れや動線などです。駅から少し離れていても、そこに大きいスーパーマーケットがあって人が集まりやすいエリアもあります。人がよく通る道と、まったく通らない道もあります。
そういった人の動線を見ながら、高齢者が多い、若者が多い、子連れが多いなどといった、街の活気も見ていきます。これらの情報は、実際に足を運ばないと見えてきません。私は老練の刑事のように何度も現地に赴き、さらに時間や曜日を変えじっくり観察しています。
地域の一番店になるためのマーケット調査をしたうえで、自分はコンペティターに絶対勝てる医者なのかどうか考えてみるのです。私は新しいクリニックを開業させるときには、コンペティタークリニックに絶対に勝てる分院長を配置します。勝つことが期待できる程度ではいけません。“絶対に勝てる”というところで開院させます。これはこれからクリニック経営をしていくすべての医師にとって、いちばん大事なことです。
もう一つ気にしておくべきなのが街の色です。その街の雰囲気が自分に合っているかどうかも気にしておきます。合わない場合は、寄せていく必要があります。街によって住んでいる人も違うので、自分がいちばんパフォーマンスを発揮できるエリアで開業するのがベストです。それが難しければ、その地に合ったコミュニケーションを意識する必要があります。
髙松 俊輔
医療法人社団翔和仁誠会
理事長
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
